title:売れ続ける理由 一回のお客を一生の顧客にする非常識な経営法
author:佐藤啓二
publish:ダイヤモンド社
大企業がこんなにも売上・利益不振になっているのだから
小さな会社はどうなんだろう
ニッチな市場でコツコツがんばる?
大きな企業が大変なんだから小さな企業が大変なんて当たり前?
消費が足細りになっていて、スーパーやコンビニも苦戦
PBでコストを抑えて安価を提供、数で稼ぐ
そんなのは小さな企業ではできない
だったらどうすればいいんだろう。。。。
「さいち」という仙台にある家族経営のスーパーが参考になる
競合は大企業や同業者ではなく、家庭の味
地元の給料などが上がらない限り、原料コストが高騰しても販売金はキープ
家庭では、添加物などを使わない。だから、無添加・手作りを徹底している
だからって、声高に「無添加」なんても叫ばないし、「無農薬」とも謳わない
そこにこだわっているわけではないから
不作のときに農薬を使うことはあるかもしれない
その判断は、信頼しているプロの農家に任せる
信頼関係で成り立つ、対顧客、対パートナーとの関わり
「エコ」「無農薬」というキーワードを売るのではなく
顧客が求めるお惣菜を愚直に続けていく
どこに芯を立てるのか
その部分で小さな会社が生き残れるかどうかが分かってくるのかな。
と考えた本
おはぎとお惣菜の「総菜部門」が、年商6億円の約5割を占めている点です。普通のスーパーでは、「総菜部門」の比率は10%が目標ですから、同業者からすると「50%はありえない数字」だそうです。(p.4)
どんなに原材料があがっても、不景気で地元のお客様の収入が増えないうちは、値上げをしないとうのが、さいちの鉄則だからです。それでも、ムダを徹底的になくし、売れ残りや廃棄をほとんどゼロにすることで、逆に利益があがってしまうのです。(p.11)
お惣菜などはなるべくいろいろな種類のものを少量ずつしかも手作りで手間ひまをかけて、おいしいものをお客様に提供する。材料のムダを省き、全部売り切るようにすれば、利益率アップにもつながります。(p.11)
さいちのお惣菜の原価率は60%、普通のお店よりずっと高いのですが、ロスゼロを実現しているので、40%は利益になります。(p.11)
よく「××産使用」とか「完全無農薬」を謳い文句にしている商品をみかけますが、結局それは「材料を売り物にしている」ことにつながりやすいのです。「この材料だから」という理由ではなく、「おいしいから」といってお客様にリピーターになっていただけてこそ、本物ということではないでしょうか。(p.55)
「見えない部分を大事にする従業員になってほしい」、私はいつもそう言っています。見えない部分とは、徹底的に考えること、そして自分を磨くことです。ただつくるだけなら誰にでもできます。でも心をこめずに、なんとなくつくるのではダメなのです。マニュアルどおりにつくるのでは心が入りません。(p.89)
さいちでも朝礼は毎朝やっていますが、ほとんど各売り場の主任を任せています。わたしが朝礼で話をするのは、月に2回だけで、それも5分以内と決めています。その代わり、「企業理念」「行動方針」「誓いの言葉」を全従業員に配布し、それを朝礼には必ず持参してもらい、「企業理念」と「誓いの言葉」は全員で唱和します。(p.120)
自分の言葉で語れる人でなければ、その人を信用することはできません。これは銀行や取引先との関係だけでなく、従業員に対しても、他のあらゆる人間関係でも同様です。経営者が自分の言葉で語らなければ、従業員の心には伝わりません。(p.129)
経営者や上司が従業員をほめるときは、「よく売れたね」ではなく、「よくできた」「よくがんばった」という言葉を使うほうがいいと思います。もちろん数字は大切ですが、数字以上に大切なのは、その気持ちを明日もあさっても忘れずにいてもらうこと。「売れた」という結果ではなく、お客様に喜んで買っていただけた、笑顔になっていただけた、ということを最大の喜びにする。その姿勢は、明日つくるお惣菜にも必ずいい影響となって出てくるはずです。(p.133)
機会があるごとに個々に従業員をほめますが、なんといっても一番効くのは、「頼んだぞ」の一言。この一言だけで、従業員は責任感を持って取り組んでくれるようになります。現場に出ている経営者が直接、「頼んだぞ」と言って、ポンと肩を叩く。すると、従業員は意気に感じ、「よし、やるぞ」という気持ちに自然となってくれるのです。(p.134)
従業員を注意するときは、みんなの前から、部門の責任者など第三者のいる場で注意するのが原則です。そうすれば、こちらの言っていることを相手が誤解しているときには、その第三者が「社長が言っていたのは、こういうことじゃない?」とフォローしてくれるからです。(p.138)
その人が能力を発揮できるように教育していくこと、その環境をつくっていくことが大切です。(p.140)
自分で材料を集めて、いろいろな創意工夫をして、おしいものをつくる。なおかつそれをムダなくやれる。これができて初めてお客様に買っていただく事ができ、その人が受け取る賃金が生まれてくる。そのことを従業員に誓いしてもらわなければいけません。(p.141)
売上、粗利益を全従業員にオープンにするのが、さいちのモットーです。そして、その結果に基づいて部門ごとに評価して、「金・銀・銅」の賞で表彰します。前年同月比および予算比で売上が20%以上伸びたら「金」、10%以上なら「銀」、伸び率が一ケタ台なら「銅」。ポイントは他部門との競争ではなく、“前年月比および予算比の自分”との競争である点です。(p.143)
切磋琢磨しながら、誰かが伸びたときにはみんなで「がんばったね」と言って祝福し合える、それが私の考える“本当の”成果主義です。(p.143)
長く売れ続けるためには、飽きのこない味、そして何より安全であることが大前提です。具体的には、塩や砂糖などの調味料をどのくらい使うのかをまず見せて、それをどうやって入れていくかを専務が実際にやって見せます。一度に入れずに、様子を見ながら他の調味料を混ぜながら入れていくのが特徴で、ここで手を抜かずにキッリリやると、やはりおいしい味が出るのです。(p.150)
「対照表」と呼んでいるノート。書いてあるのは、日付と曜日、天気、最高気温と最低気温、客数、その月の客数の累計、売上、その月の売上の累計、そして特記事項です。項目としてはそれだけですが、このぼろぼろのノートが店にとっておおきな財産になっています。(p.158)
商売はその日一日が終わったときに、きちんと振り返ることが重要で、私は店を閉めたあとに必ずこれをつけるようにしています。そして毎日コツコツと記録を続けていくと、明日のこともだいたいはこの「対照表」だけで予想がつくようになるのです。利益など、あとで計算しなければわからないような数字は一切書いていません。後日書き込む必要があったり、複雑になったりすると、使うのが面倒になり、「対照表」の良さがなくなってしまうからです。(p.162)
こんなに原価率が高くても利益が得られるのは、“ロスゼロ”を実現しているからです。材料をムダにしない、すべて売り切って、売れ残りの廃棄をゼロにする。(p.169)
「ロスゼロ」を実現するために、20年前から思い切って導入したのが、午後5:45からの手作り総菜の「半額セール」です。目的はあくまでも100%売り切ること。お惣菜とおはぎは明日に残せないものですから、売れ残れば廃棄するしかありません。半額にする理由は簡単で、絶対に破棄したくないからです。(p.169)
半額にしても材料の分の原価は十分に取れますから、赤字にはなりません. (p.170)
ほとんどの店では、最初から売れ残ることを想定してロスを原価に織り込んでいますが、実はこれが間違いのもと。最初からロスを見込めば、どうしてもその分値段を高くつけなければ利益が取れません。(p.170)
結論からいえば、問屋との信頼関係を大切にし、価格は値切らないほうが結果的に利益につながるのです。問屋さんに言うのは、「納得のいく商品を、おたくとの信頼関係においてお願いします」ということだけ。こちらが信頼すれば、問屋さんもそれに応えようと、納得のいく商品を一生懸命探して納めてくれます。(p.176)
相手の立場に立って、相手のことを考えて商売をしてくれる。だから信頼できるのです。(p.177)
信頼関係を築くには、自分が先に動かなくてはいけません。相手に「信頼してくれ」と言うのではなく、まず自分が相手を信頼することです。自分が「この人ならやってくれる」と感じたら、自分が考えていることを腹を割って伝え、きちっとお願いする。そのときどきの都合で話が変わってくるのでは困るからです。(p.184)
一番強力なのは、他の人からの口添えです。自分がお世話になり、絶大な信頼を寄せている人が「あの問屋はいいよ」と言っていれば、その問屋さんを使いたいと思うでしょう。わたしだって人に相談されれば、当然、自分が安心して取引ができている問屋さんを紹介します。(p.186)
一番大切な基本のところは徹底的にやり、話は短く、ポイントを抑える。(p.191)
日本的な家族経営の成否の最大のポイントは、「経営者が一番苦労し、働いているか」それとmp「従業員を働かせて経営者が楽をしているか」です。はっきり言って、経営者が楽をしている会社は絶対にダメです。従業員が働く意欲をなくし、その意欲のなさはお客様まで伝わってしまいます。経営者が「自分が働くのは当たり前」だと思っていれば、自然に伝わるのです。(p.192)
スーパーやコンビニにもない独自の商品やサービスがあればお客様は来てくださいますし、近くにスーパーやコンビニがあればかえって集客力が増えます。小さなお店はスーパーやコンビニをライバルと考えるのではなく、「共存共栄」の仲間ととらえてみてはどうでしょうか。(p.213)
「商いは飽きない」というのは、毎日飽きる事なく自分を磨き続けること、毎日毎日の出会いを大切にしながら、見えない部分で自分を絶えず磨いていく事の大切さを教えてくれる言葉なのです。(p.224)
わたしたち小さなお店は、簡単にあきらめずに見えない部分で努力を続けていとが大切です。(p.224)
売上や規模を目標にしてしまうと、どうしてもぶれやすくなります。数字の上がり下がりに気持ちを奪われ、心が揺れてしまいがちです。自分が知恵を絞る前に、「人のせい」にして最初から参ってしまっているわけです。(p.252)
自分の身ひとつですから、景気がよかろうが悪かろうが、近くにスーパーができようができまいが、人のせいにせずに、キチッとがんんばっていくしかないのです。(p.253)
「ただ売っている」のでは、絶対に売れないのです。(p.239)
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