2012/07/27

ザッポス伝説


title:ザッポス伝説
author:トニー・シェイ
publish:ダイヤモンド社





 真実だけでは十分ではない場合があり、真実の表明は真実と同じく重要だということを学びました。(p.45)

必要は発明の母とはよく言ったものです。バーチャルで行う史上最大の勉強会に参加しないかと呼びかけたのです。私は、興味を持ってくれた人全員に、出題の可能性がある100のテーマの中から徹底的に調べてもらう3項目を割り当て、期末試験で実際に出題された際に記載するように書いてもらったものをメールで返送してもらうことにしました。私は、全員の返答をまとめ、コピーをとって、冊子にし、それを一冊20ドルで提供。買えるのは3項目について調べた人で、ひとり一冊のみ。結果的に、これは大勢の関心を集め、各テーマについて複数の人からの回答を得られました。本を開く事も自分で書く事もせずに、私はこれまでで最高に包括的で、みんなの役に立つ参考書を手に入れたのです。(p.53)

(上記のプロジェクトにより)私は、クラウドソーシング(インターネットなどを通じて不特定多数の人に業務を委託すること)のパワーを初めて知ったのです。(p.54)

私たちは自らの事業を営み、自分の運命を自分でコントロールしたかったのです。大事なのはお金ではなく、退屈しないことだったのです。(p.71)

自分たちのしたいことをわからなくても、「したくないこと」はわかっていました。オラクルでは働きたくありませんでした。これ以上ウェブ・デザインの仕事はしたくありませんでした。営業の電話をかけたくもありませんでした。そしてココロの底から飽き飽きするのは、もうたくさんでした。そこで私たちは、昼も夜も次にきそうなすごいインターネット・ビジネスのアイデアを考え出そうとしましたが、よさそうなものはひつつも思いつきませんでした。ある週末、あまりにも退屈なので、とあるアイデアを試してみようとプラミングを始めてみることにしました。(p.73) ※この考えわかる!!

私たちがワクワクしていたのは、急成長を遂げるものを創り上げていること、そして他の人たちがその使用価値を本当に認めてくれていると感じられたことでした。(p.75)

大学時代、私は国際コンピュータープラミングコンテストに参加したことがありました。私が一員だったチームはそのコンテストで優勝したのです。(p.58) ※やっぱ、プロフィールはあるんだよね

3人それぞれが自分の友人をリンクエクスチェンジのためにリクルートしはじめ、ひとりずつ、友人が加わってくれるようになりました。(p.80) ※最初は友人から。が定説なんだね。

その後、社員が25人を超えた事から、私たちは他の理由で応募してきた人を採用するというミスを犯しました。私たちが採用した人たちは頭がよく、モチベーションが高い人たちだったのはよいことでしたが、採用した多くの人が、お金をたくさん稼ぐことか自分のキャリアと経歴書をよくすることが動機だったのはまずいことでした。(p.89)

会社に残るものの実際は荷もしないというのは、シリコンバレーの買収劇では現実によくあることでした。事実、このことを表現するために起業家が使う「Vest In Place(ベンチャーを大企業に売却後、ストック・オプションなどの権利が行使できるまで静かに待つ事)」という言葉があるほどです。(p.92)

自分が何をするつもりなのかまったくわかりませんでしたが、何をしないかはわかっていました。私は金銭を追い求めるのはやめ、情熱を追い求めることにしたのです。(p.99)

ニックは、実際にネット通販で靴を買う人がいることを証明するためだけに、このサイトを立ち上げたのでした。実際のビジネスのアイデアは、最終的に何百ものブランドと提携し、各ブランドから倉庫にある在庫品をザッポスに提供してもらうことでした。ザッポスは顧客からインターネットで注文を受け、その注文を各ブランドのメーカーに転送し、メーカーから直接ザッポスの顧客に発送してもらうのです。これは「ドロップシップ」として知られているものです。(p.109)

私たちの成長のきっかけはそんな風に起こる事がよくありました。ただアイデアを投げかけてみて、アイデアが刺さるか、状況に応じて変化するか、実現するかをみるのです。(p.114)

ポーカーから学んだことでビジネスにも生かせることをリストにし始めました。
市場機会を評価する
着くテーブルを選ぶのは、自分で決められる最も重要なこと
着いたテーブルで勝ち目がないとわかったら、テーブルを替わっても構わない
テーブルに少々不合理なことをしたり、経験不足の人が多すぎると、最高のプレーヤーでも非常に勝ちにくい
マーケティングとブランディング
強い手なら弱く見せ、弱い手なら強く見せる。ブラフするタイミングを判断する
自分の「ブランド」が大切
自分について人が語るストーリーが作れるようにする!
ファイナンス
想定できる最悪のシナリオに対して常に準備しておく
勝ったゲーム数の多い人が最終的に一番多く儲けているわけではない
ゲームで負けない人が最終的に一番多く儲けているわけではない
リスクが最小のものでなく、期待値が大きいものを選ぶ
プレイしているゲームと抱えるリスクに十分見合う額の手持ち資金があるか確認する
負けても差し支えない範囲でのみプレーする
長い目でみるゲームであることを忘れない。一回ごとに勝ち負けはあっても、重要なのは最終結果である。
戦略
ゲームの仕方を理解しないでゲームをしないこと。たとえ大勢がそのゲームで儲けていても。
掛け金が高くない段階でゲームを理解すること
いかさまをしない。いかさまをしても結局勝てはしない
自分のやり方を貫くこと
ゲームの動きは変化するのだから、その夜を通してプレーのスタイルを状況に適応させることが必要。フレキシブルでいること。
辛抱強く、長期的に考えること
スタミナと集中力が最もあるプレーヤーがたいてい勝つ
他人と差別化をすること。テーブルのほかのプレーヤーがしていることと反対のことをすること
希望を抱くのは、よい策とはならない
自分を「理性を失い、つい悪い手を賭けるような感情的な状態」にしないこと。一休みして、散歩をするか、その晩はゲームをやめておくほうがずっとコスト効率がいい
継続的に学習する
みずから学ぶこと。本を読み、経験者から学ぶこと
実践により学ぶ。理論は魅力的だが、実際の経験に勝るものはない
才能あるプレイヤーのなかに自らを置いて学ぶこと
ゲームに一回勝ったというのは、自分が上手いというkとおでも、もう勉強しなくていいということでもない。ただ、単にツイていただけかもしれない。
アドバイスを求めることを怖れないこと
カルチャー
ゲームが好きであること。本当に上達するためには、寝ても覚めてもゲームとともにあることが必要
うぬぼれない。見せびらかさない、自分よりも上手い人は常にいる
親切に振る舞い、友達を作る。小さなコミュニティなのだから。
自分が学んだことを他人とシェアする
今しているゲームを超えたチャンスを探す。新しい生涯の友達や新しい仕事の接点を含め、これから誰と知り合うかは決して分からないものだ。
楽しむ事。単なる金儲け以上のことをしようとするなら、ゲームは何倍も楽しくなる。
(p.116119)

ビジネスでも、起業家やCEOにとって、何のビジネスに身を置くかは最も大事な意思決定です。それが参入すべきでないビジネスだったり、マーケットが小さすぎたなら、事業がどんなに完璧に運営されているかは関係ありません。(p.120)

どんなビジネスに対するどんなビジョンでも、テーブルを大きくできるようなより大きなビジョンが常に存在することがわかりました。(p.121)

サウスウエスト航空が成功したのは、他の航空会社がこぞってプレイしていたテーブルとは違うテーブルでプレイすることを決めたからです。(p.121)

よく知らない業界、なんら自分のコントロールも影響力も及ばない業界、知らない人や信用できない人に投資するのは間違ったことだと学べた。(p.124)

リンクエクスチェンジを売却してから、私は自分にとって物質的なものよりも体験のほうがずっと大切だという哲学に従って生きてきました。(p.134)

そこ(ナイトクラブ)では誰の評価にもとらわれない感じがあり、倉庫で周囲を見回した私は、音楽に乗って踊っているどの人も、ひとりひとりがただあるがままの自分でいることが素晴らしいと思いました。(p.138)

みんなが音楽にのって踊っているよいうより、音楽がみんなの中をただ通りすぎていくようでした。(p.139) ※こういう感覚って、たとえばヨガとか瞑想とかドラッグ、そういったことでも得られるはず。そしてその快感は体験できた人にしか分からない

PLURの考え方とレイヴ・カルチャーは私にとって、相手の外見やバッググラウンドに関係なく常に出会いを歓迎しようという哲学に近いものでした。どこかで誰かと交流することは、すべてこれまでにない視点を得るチャンスです。みんな人間ですから、ビジネスや政治や社会的地位で支配されているこの世界に生きていると、こうした視点を見失いがちです。レイヴ・カルチャーは、世界がよりよくなり、人がお互いの人間性をただ感謝し合えるようになる可能性があることを思い出させてくれたのです。(p.141)

生き残る確率をあげるために、一度レイオフすることにしました。さらに、どうしたら残っている社員に、大幅な減給を受け入れてもらえるか、あるいは会社の株と引き換えにただ働きをしてもらえるか考えなければなりませんでした。(p.164)

私たちがレイオフしたのは、働きが悪い人やザッポスを信じてくれない人で、残った人たちはみんな会社に情熱を傾け、自分たちがしていることを信じていたために、以前と同じ量の仕事をこなせたのです。これは、会社を挙げて情熱を注ぎ込むことと、一体となったチームとして働く事のパワーについて学ぶ、大きな教訓となりました。誰もが犠牲を払っていたのです。(p.166)

私個人の銀行口座の残高が少なくなりだすと、私は持っていた不動産の売却をはじめ、不動産を売ってはその売却代金をザッポスにつぎ込みました。私の両親が経営していたレストランは売上計画を下回っていました。状況は悲惨でした。わたしが関わっていたレストラン、インキュベーダー、ザッポス、さらに私自身を含めて、あらゆるものが資金不足に陥っていました。(p.167)

経費削減にフォーカスするだけでは黒字化しないことがはっきりしました。売上アップさせる方法を見つけ出す必要がありました。(p.169)

自分たちのコア・コンピテンシーを決してアウトソーシングしてはならないということを学んだのです。オンライン小売業者として、最初から倉庫業務を中核として考えるべきでした。(p.200)

取引先と交渉し、何社かに支払までの期間を長くしてもらえました。(p.20)

「ビジョナリー・カンパニー2」を読んで、彼の研究でわかったひとつはが、偉大な企業は、ただ単に金儲けや市場で一番になることを超えて、もっと大いなる目的とかより大きなビジョンを持っているということなんだ。多くの企業は金儲けだけに集中するという罠に陥り、決して偉大な企業にはなれないんだ。(p.203)

「融資実現の可能性はどれくらいだ」(p.204) ※こういう会話が多い。資金繰りが大変だってことだ。

最大のビジョンとは、まさに最高のカスタマー・サービスを意味するザッポスというブランドを構築することだとはっきり理解しました。もしかしたらいつの日か、本当に最高のカスタマーサービスと顧客体験を提供するザッポス航空ができるかもしれません。(p.204)

5年後、ザッポスのロビーには、社員や訪問客が誰でも無料で利用できる100種類の本がそろうまでになりました。やがて本の多くは、社員の成長と学びを助けるために社員の必読書になり、人気のある本のいくつかについてより深く学ぶためのセッションさえザッポスは提供するようになりました。(p.206)

ドロップシップは楽に稼ぐ方法でした。まさに最高のカスタマーサービスを意味するザッポスブランドを築き上げることに真剣なら、遅かれ早かれこのドロップシップの事実をやめるべきだと、私たち全員がココロの奥底ではわかっていました。(p.208)

スイッチを切り替え、私たちはドロップシップをやめて、ウェブサイトからドロップシップの商品をすべて外しました。(p.208) ※開始から4年経っている

絶えずコミュニケーションを取るようにして、できるだけ多くの取引先に支払をもってもらうようにする。(p.209)

どのメーカーに支払うかはフレッドに任せました。いつ支払ってくれるかと前の週に問い合わせてきたメーカーや支払先を選ぶこともあれば、ザッポスとの関係が最も懸念されるところを選ぶこともありました。(p.210)

私たちは、配送料無料と返品時の送料無料を実践しています。これがザッポスの標準的サービスです。顧客は45日以内の配達を保証していますが、ほぼすべての顧客に対してこのサービスをアップグレードしています。最終的にはココロに残った些細なことが、結局は大きな利益を生んでくれると信じているので、素晴らしい顧客体験をつくり出すために、私たちはこうすることを選んでいるのです。(p.215)

本当に最高のカスタマーサービスを提供するザッポスのブランドを築くためには、一部門ではなく、会社を挙げてカスタマーサービスに取り組む必要がありました。(p.219)

カルチャー・ブックへの反響に端を発して、私たちは「アスク・エニシング」と名付けたの社員向け月刊ニュースレターを発行することにしました。これは、文字通り、社員がメールで何でも質問することを奨励する企画です。(p.228)

私たちはその後の数年間、顧客体験の向上、企業文化の強化に集中し、個人的にも仕事の上でも、社員の成長に投資しました。(p.229)

振り返れば、目標を早く達成できた大きな理由は、私たちが時間、資金、経営資源を3つの分野に投入しようと決めたためでした。
1、 カスタマー・サービス(私たちのブランドを作り、口コミを促進します)
2、 企業文化(コアバリュー(基本的価値観)の形成につながります)
3、 社員の教育と能力開発(後にパイプライン・チームを生み出します)
(p.230)

今日でさえ、ブランド・カルチャー・パイプラインだけが、結局自分たちが長期的に持つ競争優位性であると私たちは信じています。ほかのことは、模倣が可能であり、そのうちまねされてしまいます。(p.230)

一般に、マーケティング部門がマーケティングROIを計算する際、顧客の生涯価値を一定にして考えます。私たちは、顧客の生涯価値を流動的なものと見なしており、あらゆるやりとりを通して顧客のココロの中に私たちのブランドとのよりポジティブな絆をつくり出せれば、顧客の生涯価値を向上できると考えております。マーケティング担当者が陥りがちなもうひとつの落とし穴は、本来ならエンゲージメント(絆)や信頼を築くことに集中するべきときに、いかに話題性を持つかを考えることに集中すぎることです。(p.241)

私たちはピッキングの効率性を最大限にあげようとは思っていません。最大限にまで高めようとしているのは顧客体験で、これはインターネット通販事業では、できるだけ迅速に顧客の注文の品を発送することで、部分的に決まってしまいます。年中無休の24時間体制の倉庫、顧客を驚かせる翌日配達のアップグレード、そしてUPSのワールドボード・ハブからたった15分の場所にある倉庫の立地が組合わさることによって、東部時間の真夜中までにオーダーする数多くの顧客に、注文の品を8時間後に玄関先に届けて、驚かせるのです。(p.242)

顧客とのどのようなやり取りも、私たちはコストを最小かするという視点ではなく、ブランディングという視点で捉えている。(p.242)

私たちはひとつひとつすべての応対業務で生じる利益を最大にしようとはしていません。その代わり、私たちは電話に一本ずつ対応し、顧客ひとりひとり生涯続く関係を築こうとしているのです。(p.244)

平均的に見て、私たちの顧客は一生にどこかの時点で少なくとも一度は私たちに電話はかけてくることを知っているので、私たちはその機会を使っていつまでも記憶に残る思い出を生み出すように心がける必要があるのです。(p.244)

あなたの会社にカスタマー・サービスを浸透させる10の方法(抜粋)
4、 強欲な、あるいは社員をひどく扱う顧客は、こちらから縁を切っていいのだとはっきり認識します。
(p.247)

ほとんどの会社で、コンピューターシステムにログインするためには、ログインとパスワードが必要です。ザッポスでは、さらにもうワンステップ必要で、ランダムに表示される社員の写真を見て、ユーザーはその社員の名前を選択肢から選ばなくてはなりません。その後、その写真の紹介と略歴が表示されますから、みんなお互いをよりよく知ることができるのです。(p.252)

ザッポスでは、企業文化がきちんと設定できていれば、素晴らしいカスタマー・サービスも、長期にわたる素晴らしいブランド構築も、情熱的な社員や顧客といったそのほかの大部分のことも、自然に始まると考えています。(p.256)

ザッポスでは、2種類の面接を実施しています。採用担当のマネージャーと採用担当チームが、関連分野での実務経験、専門的能力、チームにフィットするかどうかを判断する標準的な面接をします。しかし、その後で、人事部がザッポスの企業文化にフィットするかどうか、それのみを純粋に探る面接を実施します。応募者はこの両方の面接に受からなければ採用されません。(p.256)

本社採用になった人は全員、配属先や役職に関係なく。カスタマー・ロイヤリティ・チーム(コール・センター)のオペレーターが受ける研修と同じ研修を受けることになっています。会計士も、法律家も、ソフトウェア開発者も、まったく同じ研修を受講します。この4週間の研修プログラムでは、社史、カスタマー・サービスの重要性、会社の長期ビジョン、企業文化に対する価値観について学び、その後は実際に2週間、顧客からの電話に対応する実地研修があります。研修第一週目を終えた時点で、私たちは研修受講者にある提案をします。辞める人には誰でも2000ドル(すでに働いた時間分の給与に加えて)支払うというもので、このオファーは4週間の研修終了時まで有効です。(p.256)

私たちは、社員が給与のためだけでなく、それ以上のものを求めてこの会社にいることを確かめたいのです。社員が私たちの長期ビジョンを信じ、この文化の一員になりたいと思ってほしいのです。結果的に、平均すると、このオファーを選ぶ人は1%以下となっています。(p.257)

ザッポス文化を10のコアバリューに定めました。
1、 サービスを通して「ワオ!」という驚きの体験を届ける
2、 変化を受け入れ、変化を推進する
3、 楽しさとちょっと変なものを創造する
4、 冒険好きで、創造的で、オープンマインドであれ
5、 成長と学びを追求する
6、 コミュニケーションにより、オープンで誠実な人間関係を築く
7、 ポジティブなチームとファミリー精神を築く
8、 より少ないものからより多くの成果を
9、 情熱と強い意志を持て
10、 謙虚であれ
(p.258)

一年にわたり、私は全社員宛に数回メールを出し、社員にとってどのコア・バリューが最も大切か、たくさんの提案やフィードバックをもらいました。(p.264) ※一緒に作りあげていくこと!

新聞に求人広告を出し、ザッポスと仕事の詳細についての説明会へ参加後、6人のザッポス社員とそれぞれ5分ずつ面談してもらいます。狙いは間違いなくフィットしない人たちを候補から速やかに外すことで、その後、残った人たちには通常の面接のために再び来てもらいました。そこから微調整を重ねていきました。1年をかけ、私たちは説明会に、ダンス・ミュージック、飲み物、軽食といったものを加えていきました。そして、情報の提供もすれば、漫談なようなものもある、インタラクティブで意外性のある説明会を創り上げていきました。私たちは、参加者にグループの人たちへの自己紹介と面白ネタの共有をしてもらい(グループの中から社交性のあるリーダーを見つけるなかなかいい方法です)、さらにアメリカの人気テレビ番組「オプラ・ウィンフリー・ショー」でするように「ラッキーな人」にプレゼントを渡しました。面接・お見合いの部では、キッチンタイマーも使い、5分経過して応募者たちが面接相手を変える際には、「ブー」というブザーの音と「交代!」の号令で知らせました。(p.288)

月曜日の朝、仕事に行くのが嫌で嫌でたまらないと言うとき、人は自分のどこか一部を家に残していこうとしていることに気づいているからだと思います。自分の才能をすべて、仕事に持ち込むように、社員の意欲をかき立て、ほかのみんなと同じようにするからではなく、限界に挑み、冒険心にあふれ、創造的で、オープンマインドでいることと、新しいことに挑戦しようとしていることに対して、報いるようにしたらどうなるか見てみませんか。(p.290)

ザッポスの面接での質問例
応募者が既成概念にとらわれずに考え、行動することに前向きであることを見る
 「以前の仕事で、あなたが既成概念にとらわれずに考え、行動しなければならなかった例を教えてください」
 「仕事でした最高の失敗は何でしたか。どうしてそれが最高だったのでしょうか」
 「あなたの職務以外の問題か領域か、あるいは両方で改善できることがあると気づき、頼まれなくても解決した時のことをおしえてください。どんなことで、どうしましたか」

応募者が平均以上に創造的であることを見る
「自分のことを普通の人以上に創造的だと思いますか、普通の人以下だと思いますか。何か例をあげられますか」
「ザッポスに入社して初日の仕事が“面談/採用プロセスをもっと楽しくする”というものだったら、これに当てられた8時間をどのように使いますか」

■ 応募者が問題を解決しようとリスクを取る事に前向きであることを見る
「以前の仕事であなたがリスクを取った例について話してください。結果はどうでしたか」
「仕事をやり遂げるために、直近であなたが規則かポリシーあるいは両方を守らなかったのはいつですか?」
(p.291)

あなたが何を話したか、何をしたかではなく、相手がどう感じたかが最も重要だと言うことです。よい関係だと人に感じてもらうには、公私ともに「相手は自分のことを心から気にかけてくれてるのだ」と分かってもらわなければなりません。(p.298)

私たちは、一般に、最もよいアイデアや意思決定はボトムアップ、つまり問題か顧客あるいは両方に最も近い人から生まれると信じています。マネージャーの役割は、障害を取り除き、自分の直属の部下が成功できるように支えることです。つまり、最高のリーダーとは、仲間を支援するサーバント(奉仕者)なのです。このようなリーダーは自分が行き射る人たちに奉仕します。最高のチーム・メンバーとは、問題に気づいたら、チームや会社が成功するように率先して行動を起こす人のことです。最高のチーム・メンバーは、当事者意識を持って課題に取り組み、難問が生じるたびに、他のチーム・メンバーち一緒になって取り組みます。(p.300)

何かをするやり方がひとつしかないということは決してなく、物事を成し遂げるやり方は信じられない程たくさんあるのです。そのようなやり方を見つけるにも、生み出すにも、実行するにも、オープンでクリエイティブな心が必要です。障害物とは、ザッポスでは行き止まりのことではありません。歓迎すべきチャレンジなのです。(p.306)

私たちは社員数8%を削減しますが、後手ではなく先手を打っているため、私たちは社員に配慮することができ、ほとんどのほかの企業が打ち出している標準的な給与2週間分の退職金(あるいは退職金ゼロ)よりもよい提案ができます。レイオフされる社員に対して年末までの給与相当分(約2ヶ月分)を支払、勤続3年以上の社員に対しては加算金を支払います。さらに、ザッポスの通常の医療費・歯科・眼科費を100%カバーし、配偶者と扶養家族に対して50%をカバーしていますが、レイオフされる社員に対しては、COBRAの保険料支払を半年間まで補填することにしました。(p.325)

社員は会社にとって最も大切な財産だといいますが、そのアプローチにはいくつか問題があります。第一に、誰かが会社を辞めると財産を失ってしまうことになります。第二に、会社が成長しても、社員が入社した時のまま成長していないと、そのうち社員が役に立たなくなるかもしれません。そうなってしまうと、通常、多くの企業で用いられる解決策は、社外からより経験豊富な人材を受け入れるというのですが、これが第三の問題を作ることになります。そのような新しい人材は、しばしば企業文化にフィットしないのです。ザッポスでの私たちの信条は違います。個人を財産として位置づける代わりに、私たちが重点的に取り組んでいるのは、ザッポスの財産として、さまざまなレベルとスキルと経験にわたる「パイプライン」をどの部署でも築くことにしています。(p.333)

エントリーレベルの段階で、私たちが真にこだわるのは、所属しているチームが担当している製品のカテゴリーに情熱を持っているかどうかということです。3年間で、マーチャンダイジング・アシスタントはアシスタント・バイヤーに昇格し、さらにバイヤーになります。(4年目以降は、シニア・バイヤー、ディレクター、ついにはVPへと昇進することが可能です)。(p.334)

各部門のパイプライン(※キャリアパスに必要な勉強過程)が出来上がれば、いつひとりが会社を辞めても、常にその人の直前あるいは直後にいる人が辞めた人の職責を引き継げます。このような方法で、各会社個人ではなく、パイプラインが会社の本物の財産になるのです。(p.338)

自社の商品とサービスで常に人を「ワオ!」と驚かせることに専念していれば、いずれメディアがそのことを聞きつけるということです/。(p.344)

講演する際はいつも、ザッポスのコア・バリューを用いています。講演をするという機会をザッポスの広報活動にあからさまに使うのではなく、聴衆が「成長と学びを追求する」よう手助けするために、私たちがどのような物事に取り組んでいるかについてできるだけ分かち合おうとしています。さらに、「コミュニケーションにより、オープンで誠実な人間関係を築く」ように努めようというコア・バリューに沿って、私たちは喜んで数字やそのほかの詳細情報をシェアしています。(p.350)

あなたに自問していただきたいのは、あなたが追い求めたいと思っているものが、実際にあなたが手に入れられると思っている幸せを与えてくれるかどうかです。(p.388)

研究結果によると、適切な戦略とは、最初に自分にとってのより崇高な目標とは何かを見出して、追い求め(というのも、この類いの幸福感が最も長続きするからです0、その後、その下に快感で得られる幸福感を据えることなのです。(p.298)


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