2012/04/01

破天荒 サウスウェスト航空驚愕の経営



title:破天荒 サウスウエスト航空驚愕の経営
author:ケビン・フライヤーズ ジャッキー・フライバーグ
publish:日経BP

サウスウエスト航空の特筆すべきところはいっぱいある
破天荒な仕事の仕方だからだ!
経営者のリーダーシップがあるからだ!
と言われているけど
これってとてもじゃないけど他社がマネできないこと

そこでブレイクダウンさせてみた
サウスウエスト航空の経営に近づける方法は

1、健全な財務状況を維持する(自分のお金を使って、ムダなコストを削減)
2、従業員を信頼している社風つくり
↓ ↓ ↓ ↓
自発的なコスト削減とサービス提供する従業員がうまれる

会社の効率性や売上を考えるんじゃなくて
利益率と客のことを考えてジャッジをしている
ハブ空港も満席にするにはいいが
そのための待機時間は、利益率を押し下げることを意味する
ちょっとした考え方の違いだけなんだろうな

経営者が弁護士として最初に会社に関わっていたのも意外だった
今までの経営者の成功物語から見て
創業者とか
その事業に使命を感じていること
特に専門技術があったわけではないことが共通していたけど
そうじゃないこともあるんだと
経営者も色とりどり

スゴイ面白い仕事の仕方や楽しませ方が載っているし
読みがいのある本だった






サウスウェスト航空は、自分たちがやっているのは人間同士のビジネスであり、たまたま航空会社を経営しているに過ぎないということを肝に銘じているのだ。(p.2)

サウスウエスト空港は、資本集約度の高い航空業界の中で、株主や顧客の強まる要求や他社との競争に適切に対応しながら、負債額を低く抑えてきた。同社の財務担当社長は「設備投資の最低50%は自己資本で賄うことが目標だ」と語っている。95年末の自己資本率は32%、オペレーティング・リースは59%だった。(p.18)

航空会社の平均的な資本回転率が10であるのに対して、サウスウエスト航空はだいたい20になっている。(p.18)

サウスウエスト航空は運賃を格安に据え置き、運航回数を増やし、顧客サービスの質を向上させることによって、シェア(市場占有率)を大幅に拡大したのである。同社が短距離航空市場を圧倒的に支配していることは、ノンストップで地方都市を結ぶニッチ市場のほとんどで、常に60%以上の占有率を維持していることを裏付けている。(p.19)

サウスウエスト航空は、5年間の年平均で従業員1人あたり顧客数2,400人という米航空業界最大の生産性を誇る従業員を擁している。どの航空会社と比較しても2倍以上の顧客数である。同社はゲートの1日平均出発回数と旅客機1機あたりの稼動時間でも他社を凌いでいる。(p.19)

「われわれは、レイオフは短期的な解決策でしかないと思ってる。長期的な会社の発展と社員の幸せを考えれば、そんなことはできない」。(p.20)

サウスウエスト空港の飛行機その50%は同社が完全に所有権を持っているーは大手の航空会社の中で一番若い。(p.21)

多くの大企業の背景にその会社の運営方針を決定している独自の倫理が見えてくる。サウスウエスト航空の従業員は、平等主義の信念を抱く改革者であり、自分たちが自由な職場で働いていることを確信している。(p.23)

ハーブ・ケレハーは、草の根民主主義に徹してサウスウエスト航空を運営してきた。根っからの商売人でもある。200ドルの運賃で客席の半分を埋めるより、49ドルの運賃で満席にする方を選ぶだろう。サウスウエスト航空がやったのは、民主主義による航空事業の確立にほかならない。(p.24)

サウスウエスト航空の従業員を駆り立てている信念とは、『飛行機を運航している人たちを守るために、どうすればいいのか? どうやって、小規模企業を守るのか? 格安運賃を期待している年配の庶民のために、われわれは最善を尽くしているのだろうか?』ということだ。(p.24)

従業員たちが自社の株主になっただけでなく、信条を受け入れたことを理解する必要がある。例えば、着陸料の値上げ法案にしても、単なる航空会社の利潤率を抑制する措置ではなく、自分たちの理想を阻む行為に思えてくるのだ。改革運動を支えている信条を受け入れたみんな、自分たちの顧客に不利になるような動きに対して、直感的に反応するようになる。(p.24) ※株主目線と顧客目線の2つを兼ね備えている

1966年末、予備調査を済ませた企業家ロリン・キングは、テキサス州の3都市に大型旅客機を飛ばす航空会社をつくるという雄大な構想を引っさげて、ハーブ・ケレハーの弁護士事務所に乗り込んだ。(p.29) ※有名経営者であるハーブ・ケレハーは弁護士だった!

キングはカリフォルニアにある州内航空会社パシフィック・サウスウエスト航空(PSA)について調査していた。モデルとしては完璧だった。PSAは業績が良く、テキサスとよく似た州で経営されている。経済は活況を呈し、都市間は十分離れていて、空の旅は車やバスよりずっと魅力的だった。また、キングは別の州内航空会社エア・カリフォルニア航空の創立者たちにも会い、話を聞き出していた。この2社が成功しているからには、キングの構想だってうまくいくかもしれない。(p.29) ※調査方法は、モデルとなりそうな会社を徹底的に調べること。

サウスウエスト航空は67年の創設から4年にして、ようやく就航できるようになった。これから必要なのは、会社を組織し、運営できる人物だ。そこで、ラマー・ミューズの登場になった。航空業界のベテランだ。攻撃的な自信家で、じっとしているのが大嫌いだ。会社をスタートさせる完璧な腕を持っていた。ラマーは、粘り強く、常識を打ち破る発想をするのだ。(p.33) ※創設までに裁判続きだった。そして、その後は軌道に乗せるための経営者が必要。つまり、創設するまでに契約や裁判などを切り抜ける人と人を雇って事業を運営していく人の特性や業務、向き不向きが違うことを知っていた。

ミューズは直ちに金を集め、旅客機を買い、人材を雇う仕事に着手した。設備を調え、初年度を切り抜けるには、700万ドルを集めてもまだ足りない。そこで、航空業界にいる自分の友人や知人に呼びかけた。(p.34)

ミューズがサウスウエスト航空で果たした最も大きな貢献の1つに適材の雇用がある。ミューズは業界で最も経験を積んだベテランを含む、企業幹部を結集したのである。とりわけ創意に富んだマーケティングの権威者で、他の航空会社でミューズと一緒に働いたことのあるディック・エリオット。(p.35)

オグデンはサウスウエスト航空独自のフライト・プログラムを作った。そのコックピット・プログラムは難なく連邦航空局(FAA)に承認され、業界の羨望の的となったほどである。ビルはサウスウエスト航空初代の地上業務担当副社長として、航空機を最大限に活用する革命的な方式のいくつかを確立した。サウスウエスト航空は今でも、2人の生み出した基本方式に従っている。(p.36)

ケレハーは従業員5人に対して妹しか乗っていないサウスウエストの話を聞き、利潤をあげる道を考えなければならない、と決心したのだ。(p.39) ※最初は流れに任せて、ある時に、このままじゃまずいと思って変更を加えたんだ。つまり、臨機応変にやっていたってことかな。

大きな転機は、ホビー空港で業務を開始したときだ。ホビー空港は商業地区に近く、サウスウエスト航空を利用するビジネスマンの短距離・短時間という要求にはぴったりだったが、1社だけが業務を行う空港を利用する人がいるかどうかは未知数だった。しかし、フタを開けてみると大当たりだった。(p.39)

ラブ・フィールドはダラスの商業地区からわずか10分の距離にあり、短距離の乗客たちには市街地と簡単に往復できる理想的な空港だ。少しでも早く行きたいビジネス客の要求にこたえてきた航空会社が、30分も離れた空港に業務を移転するなんて陸地に合わない。そのため、移転は拒否した。(p.40) ※政治的問題があろうとも、自分の信念をきっちりと守ること。そのために5年間の法廷闘争に巻き込まれようとも。

草創期、社員たちは事業を継続するために、独創的なアイデアを次々と出した。既成の航空会社と競争するためには、革新である以外に道はなかったからである。(p.46)

サウスウエスト航空の一貫した低運賃のおかげで、飛行機に乗れる人が増えたから、市場拡大ができた。(p.48) ※パイを広げた

サウスウエスト航空は、組織全体で2段階(ピーク期とオフピーク期)の運賃体系をとる制度を完成させ、この運賃体系がついには航空業界を再編成し、商業航空の経済性を根本から変えたのである。同社はまず、旅客機の営業に柔軟な価格という考えを導入し、それからオフピーク期の運賃を下げて空席を減らし、高い運賃で空席の多い飛行機を飛ばしていいたときより収益を上げた。(p.49)

この2段階運賃体系の生まれた背景はこうだ。定期点検のために乗務員だけ乗せて空っぽの飛行機を飛ばすよりは、ヒューストンからダラスまで金曜日の夜便を10ドルで提供した方がいいのではないかとミューズは考えた。10ドルで112席の座席が埋まれば、収支がとんとんになる。たとえ、毎回数席しか埋まらなくても、どうせ定期点検には行かなくていけないし、空っぽの飛行機を飛ばすコストを補う程度の収益があれば、ないよりましだ。(p.49)

市場全体をカバーするには、次の2種類の乗客を満足させなければならない。
1、 価格より時刻を優先し、ビジネス・アワーでの頻繁な運航を期待する利便性志向のビジネス客
2、 ともかく低運賃を望み、運航の時刻には柔軟な価格志向のレジャー客
(p.50)

ミューズは組織全体で、下記の2段階運賃体系を取ることに決めた。
1、 エグゼクティブ・クラス・・・ウィークデーの午後7時まで運航する便は全て26ドル
2、 プレジャー・クラス・・・ウィークデーの午後7時以降、土日に運航する便は全て13ドル
(サウスウエスト航空の当初の運賃20ドルから、30%値上げ、35%値下げである。)
(p.50)

この2段階運賃体系を導入してから、乗客数は一挙に跳ね上がった。最初は対象を短距離の乗客からなるニッチ市場と定義していてが、さらにその乗客を「時間優先のビジネス客」と「価格優先のレジャー客」に分けたのだ。(p.50)

競合であるブラニフ航空は「お近づきのおしるしに」ダラスからヒューストンまで13ドルでお乗せします、と宣伝をした。ミューズは激昂して、反撃の広告を書いた。弁護士たちが反対し、ケレハーが文章を書き直した。(p.51)

「しみったれた13ドルごとに空から撃ち落とされるサウスウエスト航空ではありません」と見出しをつけ、さらに進んで乗客にオプションを提供するというものだった。13ドルの運賃を支払うか、あるいはツッ状の26ドルを支払、シーバスリーガル(スコッチ)、クラウン・ローヤル(カナディアン・ウィスキー)、スミノフ(ウォッカ)を無料で受け取るというオプションである。ビジネス客は大いに喜び、26ドルを経費として請求し、無料のボトルを家に持ち帰った。乗客の76%はサウスウエスト航空に26ドルを支払っておみやげをもらい、各会社の経理担当者が社員のやっていることに気づいて、会社の金で出張するときは低運賃の方を利用しろと命じたのは後のことだった。(p.52) ※ブラニフ航空はキャンペーン価格であったので、常に13ドルであるサウスウエスト航空を使えと、経理が命じたようなものだ。

新しいスピードアップ計画を、たった3台の旅客機でいったい維持できるのか。その計画を中止せずに済む方法を知っていたのは、地上業務を担当しているビルである。10分間ターン(地上要員が飛行機の出発準備を10分以内に完了すること)ができればいいのだ。(p.53) ※問題が起きたら、できない!のではなく、どうやったらできるのか。創意工夫で乗り切る。

「社長たちは客室乗務員たちに、機内では自分の個性を生かして自分らしく行動すればいい。といつも励ましてくれました。とくにラマーは、乗客の感想にいつも興味を持っていました。フライトが終わるたびに、お客さんはどう言っていたかと聞くんです。それがサービスの向上にとても役立ちました。(p.62)

初代社長のキングは言う。「社員には何も隠し立てはしなかった。社員たちはまず最初に、生き延びるために戦わなければならないし、誰よりも努力しなければならないよ。と訴えたんだ。みんな納得してくれたよ」。(p.63)

雇用側は面白い人間を雇うんだという考え方で社員を採用した。新しく採用した社員にはよくこう言ったもんだ。「きみはサウスウエスト航空を選んだ。だから、他の航空会社より力を入れて働かなければならないよ。給料は30%少ないだろうか、将来、この事業がうまくいったときには、きみの利益配分は誰よりも大きいはずだ。」として、その通りになった! こんな素晴らしいチームワークを見たのは初めてだ。(p.64)

そのころ、誰も絶対に口にしなかった言葉が2つある。「まず、『できない』という言葉。次に、『わたしの仕事じゃない』という言葉だ」。当初の整備士は、サウスウエスト航空がずば抜けていたところは、できるはずがないという常識にとらわれない人たちが大勢いたことだという。(p.65)

ラマーは、「でかいことを考えろ、手際よく働け」といつも言っていた。草創期のこの存在をかけた戦いは、行動的で創意に富んだ精神をはぐくんだだけではなく、人々の心を固い絆で結びつけたのである。(p.65)

誰でも知っている単純明快な規律の実践によってサウスウエスト航空は業界でトップの座を占めたのである。常に明確な目標を掲げ、緻密な戦略を展開する。利益を上げ、全従業員の安全を確保し、より多くの人々に空の旅を楽しんでもらう。こんな当たり前のことをサウスウエスト航空は一貫して実践してきたのだ。(p.70)

どんな複雑なアイデアを持ち込まれようと、その目標に照らして、『これは、私のビジョンに沿った素晴らしいアイデアなのか? そうでないなら、ジャマしないでくれ』と問い返すことができる。(p.71)

サウスウエスト航空がこだわるのは、シェアを伸ばすことではなく、コストを抑えて最大限の利益を上げることだ。「シェアにこだわるのは、ビッグになるたい!ということにほかならない。結果として、売上は伸びるかも知れないが、それで利益があがるわけではない」。(p.71)

シェアではなく利益率に焦点を合わせることにとって、サウスウエスト航空はニッチ市場(短距離路線)に合わない市場セグメントには見向きもせず、基本戦略に徹してきたのである。(p.72)

ハブ空港方式は飛行機を満席にするには都合がいいが、必ずしも効率的に運用できるわけではない。飛行機は空を飛ばなければ収益を生み出せない。単純に言えば、各飛行機の1日に飛行する回数が多ければ多いほど収益は増え、平均飛行コストは低くなる。ハブ空港方式では、それぞれの地方都市から乗り継いでくる客を待つため、飛行機の地上待機時間が長くなり、コストも上がる。ゲートの準備、機内食の用意、燃料補給などに走り回る地上要員にしても、飛行機の地上待機時間が長くなればなるほど、ムダな時間が増え、当然コストが上がることになる。サウスウエスト航空の戦略は、これとは全く異なる。飛行機をフル活用して、短距離直行分で地方都市を結ぶ方式である。(p73.) ※大学の授業で、ハブ空港の良さを言ってたけど、あれは一面でしかなかったんだ。会社がとる戦略によっては、ハブが必ずしもいいとは限らない。

飛行時間の遅れは、地上でムダな時間を過ごすのと同じで、航空機の使用効率が下がることを意味する。サウスウエスト航空が他社との相互乗り入れをしないのは、遅れの出る可能性がある他社便の乗り継ぎ客を待ちために、ムダな時間と金を消費しなくないからだ。また、乗客にしてもさまざまな選択肢があるのに、飛行機を満席にしたいという会社側の都合に合わせて、わざわざ遠回りしてまで乗り継ぎしようと思わないだろう。(p.74)

サウスウエスト航空は空港が混雑していて着陸が難しい場合には、その空港への着陸を回避している。苦労してシステムの合理化を図り、15分で飛行準備ができるようになったのに、順番を待って45分間も誘導路に待機させられるのは全くナンセンスだからだ。(p.75)

サウスウエスト航空が使う空港は混雑が少なく、街の中心部に近いものが多い。(p.75)

乗客が増えたときには、値上げをするのではなく運行数を増やすことによって、市場の拡大をしてきた。(p.76)

ケレハーは言う。「われわれの競争相手は航空会社ではなく、地上の輸送手段なんですよ」。サウスウエスト航空を利用すれば、車よりも安く移動できる場合が多い。便利さという点では車など比べようもない。(p.77) ※自分が戦う市場をどこに置くか。この市場が広い。柳井さんも、ジョブズも。

購入する機種が固定されていれば、第一に訓練が単純にできる。パイロット、客室乗務員、整備士食糧補給係は、ボーイング737だけを知り尽くせばいい。つまり、そのための訓練にすべての時間とエネルギーを集中することができるのだ。航空機を1機種に限定すれば、保守部品の種類も少なくなり、管理しやすくなるだけでなく、コストを抑えることができる。(p.78)

他社に右ならえをするために200万ドルの投資をやめたサウスウエスト航空は、従来のチケットに注意書きを入れるだけで、苦情に対処したのである。(p.79)

機内食用の調理設備が必要ないので、そのスペースを利用して、座席数を増やす事ができる。(p.80)

ケレハーは最初に90年代にサウスウエスト航空が直面するであろう重大な脅威について述べている。「第一の脅威は、われわれ自身だ。ちょっとうまくいったからといって、満足してはならない。自惚れたり、欲張ったり、怠けたり、つまらないことに心を奪われたりしてはならない。官僚主義になることも、階級意識持つことも、けんか腰になることも、外からの脅威に鈍感になることも許されない」。(p.84)

他社と異なる点は、自分のやり方を捨ててまで成功しようという罠に陥らなかったことだ。(p.84)

ケレハーは「利益を上げることや、仕事の安定を図ることのほうが大事なんだ。地方しか飛ばない小さな買いはだからという理由で注目されなくても、そんなことは大した問題ではない。われわれは信念に従って、ニッチ市場でがんばっているのだ」。(p.85)

サウスウエスト航空は独自の目標を掲げている。市場占有率を拡大することや超大手に成長することは、サウスウエスト航空の第一の目標ではない。サウスウエスト航空にとって重要なのは、利益率なのだ。(p.86)

ユーモアセンスのある人は、変化にも素早く対応できるし、プレッシャーの中で面白いことを考え出すこともできる。ユーモアがなければ、仕事を効率的に処理することも、遊びに熱中することも、健康を維持することもできないのだ。(p.88)

「われわれが求めているのは、笑顔でてきぱきと仕事をこなす人材だ」(p.89)

従業員は皆、偽るな、真実の姿でいろと教えられている。ありのままの自分を好きなように自由に表現し、その個性を生かしてユニークな会社を作ろうではないか、というのだ。(p.91)

適材を発掘するという信念を貫いているということだ。(p.91)

従業員は、欲求と感情を持つ生身の人間なのであり、この人たちを満足させることこそ最も重要な課題なのである。(p.91)

採用決定までの方法で基本的な考え方は、適材を雇うことだ。いつも相手の立場を考える社交的な人。組織の中で周りの人と協調できる人。楽しみながら仕事に打ち込める人。サウスウエスト航空が求めているのは、そういう人材だ。(p.92)

お客さまからのお叱りの声があれば、現場の状況を見極めるために、関係している社員には報告書を提出してもらいます。しかし、その社員が会社から求められていた任務を果たし、それが悪ふざけでなかったのであれば、お叱りいただいたお客さまにお返事を書きます。私たちは社員を100%信頼しており、個性と創造力を持ってお客様に接するように指示しているのは、ほかならぬサウスウエスト航空なのです。(p.96)

サウスウエスト航空の場合、プロフェッショナルであることは、ほかの人とは違う個性を持つこと、楽しむこと、型を破ること、大胆不敵なサービスを提供することだと、私は思います。(p.96)

サウスウエスト航空は、個人の独創性や個性を認め、尊重し、賞賛する。特定のタイプの個性を求めているのではなく、仕事を通して古いしきたりを打ち破り、自由に行動することを奨励しているのだ。(p.97)

サウスウエスト航空がミッドウェー進出のチャンスを物にすることができたのは、「情報に敏感で、素早く行動して、好機を逃がさない」からなのだ。では、どうすればそのようなやり方できるようになるのか? サウスウエスト航空は、官僚主義が大嫌いなのだ。ムダを省き、謙虚に考え、簡略化する。(p.101)

「私たち従業員は、一人ひとりが企業の中の事業主なのだと思っています。自分で会社を経営しているようなかんじですね」。(p.101)

現場の責任者とハーブ・ケレハーの間には階層が4つしかないので、サウスウエスト航空では部門の責任者が管理する範囲は非常に広い。(p.101)

「謙虚に考えれば会社は大きく育つ。だが、尊大な考え方をしていると、会社はだんだんしぼんでしまう」。と、ケレハーは従業員に言い続ける。(p.104)

小規模企業のような家庭的な雰囲気づくりを、さまざまな面から行っている。路線の拡張を毎年1都市から2都市に限定しているので、新しく進出した都市でもユニークな社風を浸透させる為に全力を注ぐ事ができる。地方の航空会社として親しんでもらいたいので、そのための努力は怠らない。(p.104)

授業員が会議室を後にするときには、割り振られた仕事を直ちに取りかかる準備ができている。「ゆっくり考えてみようか」などと悠長なことを言いながら会議室を出て行く姿にはめったにお目に欠かれないのだ。(p.104)

「例えば神経質であまり自信のない技術者を雇ったとします。自分の設計したものを簡明に説明できず、ややこしくしてしまう。そういう人は素早い対応ができない。素早い対応ができなければ、グローバルな世界で生きていけるわけがない。だから、ゼネラルエレクトリック社は、従業員の自信を育てることに力を入れている。自信を持てば、簡略化できる。(p.106)

サウスウエスト航空が簡略化で成功しているのは、搭乗券だ。プラスチック製の搭乗券は何度でも使えるので、材料費が削減できる。(p.107)

会社で意思決定権を握る上層部は、他の従業員のために働くのが役目であることを自覚している。それは、従業員が仕事を素早く、効率的に遂行するのに必要な道具や情報を提供する役目である。(p.110) ※会社のために働く従業員っていうイメージが強い日本企業だから、こういう考え方をしている日本企業は少ないだろうな。でも、サービス業であれば、実質的なお金を稼ぐのは従業員で、その労働環境を整えるのが上層部なんだろうな。

サウスウエスト航空は、「もし・・・」という問題提起をすることによって将来に備えている。サウスウエス航空が21世紀に備えて実践しているこの方法は、「未来図創造」と呼ばれている。役員による企画委員会が定期的に開けかれ、会社の「未来図創造」について議論が交わされる。「もし・・・」という問題を数多く提起することによって、サウスウエスト航空は直面する可能性のあるあらゆる問題への対応策を討議することができる。「未来図創造」によって、サウスウエスト航空の進むべき方向と多様な選択肢、さまざまな音大への対応策が見えてくる。そうすれば、油断した隙に付け込まれることが少なくなるのだ(p.115)

創業当初から他社を打ち負かしてきた。今度も打ち負かすことができる。そのために必要なのは、戦意、献身、気力、団結、そして温かな真心と愛に満ちた顧客サービスだ。サウスウエスト航空の最も重要な特徴は、機械でも「物」でもない。われわれの特徴は心であり、魂なのだ。(p.123)

●経営者でない人間
自分の行動が上司の目にどう映るのかを気にする。
自分の職域を守り、自分の利益を追求するだけで、事業に対する考え方も狭い
規則に縛れる傾向が強い。たとえ、どの規則が常識に反することであっても。
●経営者
他人の目などを気にせず、自分の行動が事業にどのような影響を与えるかを考える。
聖域を超えることをいとわない。誰のアイデアであろうと顧客サービするという最終目的にどのようなメリットがあるかを考える。
伸縮自在の柔軟な頭を持ち、組織の目標に反すると判断すれば、どんな規則だって敗るだろう。例外措置をとることができないなら、その規則をかることさえ辞さない
他人が気づかないような細かいことにも気を配る
仕事の結果が直接自分の利害と結びつく経営者は、コストに敏感で、労を惜しまず、創造力が豊かだ
他人に言われなくても率先して行動し、めったなことでは傍観者になりすますことがない
たまたま出会ったときに関心を示した顧客は絶対に逃がさない
人が放っておくゴミも率先して拾う
従業員に必要な情報が入れば、どんな小さなことでもすぐに電話で知らせる
(p.126)

サウスウエスト航空が求めているのは、普通ではないことに駆り立てられる普通の人々、お決まりのコースからはみ出すことを恐れない人々、そして現状打破のためにイニシアチブを取る人々だ。一匹狼も結構。官僚主義的な大企業から飛び出したり、形式的な専門教育を必要とうる職業なんて目じゃないという人間は大歓迎だ。(p.128)

連邦航空局から与えられる737型の操縦資格を持つパイロットを求人対象としている。中には、応募するために1万ドルを借金する者もいる。この最初の段階で応募者はふるいにかけられるわけだ。パイロット採用方式の各段階で、投資を惜しみ、ただ安定した職を求める者は除かれるようになっている。(p.128)

会社は課税前の営業利益の15%を利益分配制度に投資する。従業員はそれぞれ分配利益の25%(もっと増やす事もできる)をサウスウエスト航空の株に投資する。現在では会社の株式の10%を従業員が所有している。(p.129)

経営者意識は、自分が会社の実績を左右できるという信念とその信念に基づく行動から生まれるのだ。人は、自分の功績が評価されたと感じたときに、誇りや自尊心が満たされる。自分は単なる機械の歯車や成績表の数字ではなく、重要な仕事をしているのだと実感する。自分の仕事が重要であることに気づけば、自分自身が重要な存在であることに気づくのだ。(p.134)

従業員は自分の努力が会社の利益を生み、自分の仕事を守り、そして何にも換え難い大切な職場を守ることになるのだと確信している。(p.135)

会社の基本方針は、社内の至るところに掲示され、全従業員の行動基準となり、従業員はそれを目にするたびに、何が重要なのかを思い出すというわけだ。「人の心を変えるには、しつこくする以外ない」「あるアイデアを思いついたら、どこまでも磨きをかけ、より良いものにしようとするだろう。アイデアは簡単に説明できるものほどよいのだ。情報伝達もひたすら繰り返す。一貫性があること、シンプルなこと、繰り返すことが全てだ」(p.138)

サウスウエスト航空の従業員たちは、常にメモや『ラブ・ラインズ(社内報)』、ケレハーのメッセ−ジ、あるいは訓練計画や広告キャンペーン、受賞式のスピーチを通して、サウスウエスト航空を成功に導いた基本方針に触れ、新たな決意で仕事に挑戦している。(p.138)

状況が大きく変わった場合には、必要なことはいつでも話し合って変えられると信じていたからだ。これは並大抵の信頼ではない。(p.139)

信頼を築くには誠実でなければならない。約束を守り、誠実に実行することによって、信頼が築かれるのだ。常に真剣に対応し正直であると同時に、言ったことは必ず実行しなければ信頼を得ることはできない。信頼できる人の言葉や行動には説得力がある。(p.140)

ケレハーは常に余裕を持って交渉に挑む。交渉するときには必ず、「職を保証し、利益率を損なわないで従業員に与えられるものは何だろう?」と考えるのだ。(p.142)

好奇心の強い人間はほかの人たちの話によく耳を傾け、分からないことは質問する。知的好奇心が旺盛なのだ。調べていることについては、完全に把握するまで結論を出さない。耳を傾けるのは情報を集めるためだけであって、自分自身の考え方を正当化したり、確認するためではない。(p.146)

94年には1回のフライトで損益がゼロになる乗客数は、74.5人だった。つまり、平均すると1階のフライトで75人の乗客を迎えてようやく利益を上げることができるのだ。(p.155) ※こういった財務状況なども、従業員に浸透させている。そのため、この数値を改善するような自主的な行動が生まれやすくなっている。

1フライトあたり5人が94年度の損益に影響を当てている。さらに言えば、このうち、1人を失うと、1階のフライトで20%の利益が失われる。これで分かるだろう。1人の乗客がサウスウエスト航空にとって、非常に大切な存在であることが。(p.156)

こうした統計から「お粗末なサービスをうけた」乗客が1人いれば、ほかに黙って我慢している乗客が25人いることがわかる。そのもの言わぬ多数はのそれぞれが8人から6人(平均すると12人)の知り合いに不満を伝える(10%以上の人が、20人以上に話すという!)。(p.156)

『ラブ・ラインズ』に説得力があるのは、執筆者たちがビジネスや顧客サービスなどの本を読んで適切な例を取り上げ、従業員のために分かりやすく解説しているからだ。(p.157)

『ラブ・ラインズ』には「今月の成績表」というコーナーがあって、会社の業績がすべてわかるようになっている。ここには、定時運行、荷物取り扱い、乗客の苦情(3冠王を決定する項目)に関する運輸省の月刊統計も掲載される。当該月と前月の業績を比較し、各項目ごとに他社と比較し、ランク付けしている。業界の平均も記載されているので、全体的な傾向が分かり、サウスウエスト航空の業績と業界の標準を比べることができる。(p.158)

他の航空会社の動向を知りたければ、「業界ニュース」のコーナーを読めばいい。大手航空会社の情報が連載されており、従業員はわずか23ページ読むだけで、経営状況、予想される拡張計画、航空機の購入状況、生産性などを把握できる。(p.158)

常に新しい情報を得ている。こういう知識に支えられ、従業員はリスクを負い、新しいことに挑戦し、素早い決断を下せるようになるのだ。(p.158) 結果だけを示して「こうしなさい!」と言うのではなく、生データに使い状態で示して、従業員がその情報から結論を出す、行動指針を読み解くような余地を残している。自主的な従業員を育てたいのであれば、こういう手法は最適かもしれない

ラブ・ラインズの「里程標」には、「ハーブは今、何をしているか?」という小さなコラムが設けられていて、ケレハーが参加した主な行事を簡単に説明している。ケレハーの仕事ぶりがよく分かるので、思うようにケレハーに会えないのでがっかりしている人たちも、ケレハーが活躍しているのを知って安心する。(p.160) ※この習慣って大切。トップって何をしているかわからなくって、遊んでいるだけじゃないかって思われる。

冒険をすることを従業員に奨励するからには、会社だって当然リスクを背負うことになる。失敗を許そうと思うなら、多少の火の粉をかぶる覚悟が必要だ。サウスウエスト航空の従業員ならこう言うだろう。「たまの失敗による損失など、大したことではない。それよりも、従業員が自由にリスクに挑戦し、創造性を発揮することによって得るものの方が大きいのだ」。従業員が一生懸命会社のために尽くすのは、会社が彼らを尊重し、敬意を表しているからだ。たとえ彼らが大きな失敗を犯しても、それは変わらない。(p.172)

一番重要なことは利益率だと考えている。利益が上がってこそ、会社は成長し、自分たちの収入も増え、仕事も保障されるのだ。従業員たちが利益率こそ、株主配当をもたらし、業界におっける会社の信頼性を高める重要な要素であることを理解している点も見逃せない。もう1つ、同社が地域社会に時間、金銭の両面から多大な貢献をしていることも大きな誇りだが、会社が利益を上げなければ寄付なども不可能なことを従業員は自覚している。(p.185)

低コストはサウスウエスト航空の経営戦略の根幹であり、これなしには現在同社が運航しているすべての都市で市場を拡大するのは不可能だった。(p.185)

コップに水が半分入っていると見るか、半分しか入っていないと見るか。利益を求めるのか、肩書きが欲しいのか。被害者意識にとらわれるのか、不屈の戦闘意欲に燃えるのか。ビジネスを従業員の立場で見るのか、経営者の立場で見るのか。こうした見方は、いずれも、世界をどういうレンズを通してみるかによって決まる(p.190)

基本理念(抜粋)
一番大切なのは、従業員だ。あなたが従業員に接する態度は、そのまま従業員が顧客に接する態度になる。※顧客第一にしたかったら従業員第一にすることに他ならない。
競争相手には真剣に対応し、自分のことには真剣になるな
人間の資質を変えるのは難しい。従業員はその資質で採用し、技術を教えよ
(p.190)

大昔の部族で、最も重要な人物はシャーマン、つまり語り部だった。彼らの役割は歴史を正確に語ることではなく、人々の行動に影響を与え導く物語を語ることにあったのだ。(p.204)

語り部に耳を傾けなかったとき、人々は自らの歴史、歴史的文脈、自分たちを結びつけている価値観の喪失という罰を受けることになる。習慣によってもたらせる継続性なしには、どんな組織でも自らの存在意識を忘れてしまうのだ。(p.205)

サウスウエスト航空の数少ない常設委員会の1つである文化委員会は、100人を超える語り部を擁する活気に満ちたチームで、企業文化を伝える大使であり、伝道師なのだ。(p.205)

文化委員会の会議は、毎年4回、まる1日を費やして開かれるため、従業員は労働協約に基づいて勤務時間を交換したり、変更したりしなければならない。特別小委員会の方はもっと頻繁に開かれる。2年の任期中、委員たちは、サウスウエスト航空のかけがえのない独自の企業文化を守るために、リーダー的な活動に従事する。(p.206)

祝典に関しても、最も経済的で適切なやり方で追求される。例えば、たいてい外注するよりも社内の才能の調達という形をとり、例外的に特定のサービスを外注する場合も、可能な限りその費用を優先搭乗券で支払われる。(p.244)

(従業員をしかる場合も)「これから言うことは、あなたが人間として成長し、信頼されるために知らなければならないことなのだ。あなたに人生で成功してもらいたいから言うんだよ」頑固な愛を実践する人には、「今回はあなたに嫌われるのを覚悟で真実を言おう。あなたを愛しているから、黙って見ていられないんだ」と言える勇気と強さがある。(p.280)

「これはサウスウエスト航空の精神ではありません」と言う従業員もいます。それに対して私たちは「勘違いしないで、それは頑固な愛なのよ!」と答えるのです。私だって息子の言い分をはねつけることがあります。だからといって、息子を愛していないことにはなりません。(p.283)

サウスウエスト航空が何も知らずに、(先にスティーブンズ社が)広告キャンペーンで「気の利いた飛行機」という宣伝文を使用していた。弁護士の一団を雇い、何ヶ月も費やし、何10万ドルという費用をかけて紛争を処理するよりも、両社がトップの選手を出し合い、両社の従業員とマスコミが見守る中で、1対1の腕相撲を行って決着をつけようと提案をした。条件は3回戦のうち、2回買ったほうが宣伝文の権利を得ること、1回戦ごとに負けた方は5,000ドルを相手の指定先に寄付すること、というものだ。(p.302)

サウスウエスト航空が物語を宣伝し、それを会社の内外に売り込む方法には、同社の基本的な価値観が反映されている。
1、 歓迎される広告を
2、 広告を利用して、絶えず会社の気風を活性化せよ
3、 広告と広告媒体を会社の戦略と文化に調和させよ
4、 競争には真剣に取り組み、自分のことには深刻になるな
5、 空の旅を面白くせよ
6、 従業員1人ひとりを生きた広告にせよ
7、 会社の価値観を従業員の行動規範にせよ
8、 約束するより実行せよ
9、 チームの力で創造性を発揮せよ
10、 自分の仕事で信頼を築け
(p.306)

広告代理店に強く求めているのは、真の意味で見る人に歓迎される広告を作ることなのである。(p.307)

サウスウエスト航空は「歓迎される客」になるために、次の3つの基準を満たす広告づくりに努めている。
1、 視聴者や読者の興味をかきたてること・・・見た人の心を最初の3秒でつかむこと。「興味を起こさせるチャンスは1階限りだ」そこで、同社の奇抜な個性と話題の唯一の低運賃航空会社という事実を強調することによって、人々の関心を引くのである。
2、 相手を楽しませること
3、 相手を説得すること・・・どんな広告を流すにしても、サウスウエスト航空の提供するものには間違いなく価値があると顧客に確信してもらうことが必要だ。
(p.307)

広告を顧客の人生経験と結びつけることによって、繰り返しみたいと思ってもらうことにある。(p.307)

広告には、ユーモアを交えながらも要点をつく事によって、2つのターゲットに売り込んだ。「会社のための飛行機」と「唯一の低運賃航空会社」の2つのキャンペーンを展開して、好評を博している定時運行と全国で最も低運賃だという事実を売り込んだのである。(p.317)

宣伝は、サウスウエスト航空を起業の会計責任者に好まれる航空会社として大いに売り込んだ。(p.317)

サウスウエスト航空の従業員は、宣伝を正当化するのである。宣伝による伝達情報で起こりがちなことだが、宣伝が従業員を正当化するのではない。人々が従業員と接触するとき、同社の広告を見ているのだ。XYZ社が「私どもの会社は温かくて素晴らしいだけが取り柄のちっぽけな会社です」と言っても、さてXYZ社の従業員と接触してみると、「なんだ、こんなものか!」と思ったりする。それより、従業員を見てもらった方が宣伝効果はずっと大きい。(p.319)

顧客との間に信頼を築きながら、従業員に活力を与えることができれば、2つの事柄を達成したことになる。1つは、顧客がこれまで以上にわれわれに親近感を抱くようになること。もう1つは、われわれが市場でしていることに従業員が自信を深め、会社に一層の親近感を覚え、誇りを感じるようになることだ。(p.320)

サウスウエスト航空が流した広告の映像の1つに、正規の低運賃を持続できるようにコストを上げさせまいと懸命に働く従業員の姿があった。従業員が進んでテキパキと働いてくれるからこそ、サウスウエスト航空はコストを低く保ち、低運賃を維持できるのだということを示したのである。(p.320)

サウスウエスト航空は何を約束するのか?毎日欠かさずサウスウエスト航空が約束するのは、安全で便数が多く信頼できる低運賃の空の旅だ。かの有名なサービスとピーナッツが少々ついている!(p.321)

われわれが信頼感を寄せてもらえるのは、何をするつもりかをまず例え、それを実行するからだ。われわれは人々に低運賃について話、次いで低運賃を提供し、普通客には特別なことをする機会を設ける。ある制限された範囲内で、われわれの低賃金に匹敵する運賃を提供している航空会社はあるが、コストの高い低いを問わず、一貫して一律にしかも常時サウスウエスト航空ほどの低運賃制度をとっている航空会社はほかにない。(p.323)

サウスウエスト航空には、次の3つの決まりがある。
1、 顧客サービスは生真面目である必要はない
2、 規則に縛られなくてもいい
3、 顧客はいつも正しいとは限らない。
(p.328)

どうして何度も賞を受賞したり、顧客を失わずにいられるのか。必要なのは、格安運賃と最も頻度の高い運航、そして遊びが好きで、温かく、心が広く、快活で、もてなし好きな、航空業界きての従業員が顧客サービスを行うことだ。(p.328)

サウスウエスト航空では、サービスは技術を超越する。同社が長期にわたって顧客を満足させているのは、心からのサービス、つまり自己の利益を超えたサービスを提供しているからだ。サービスはお客様は神様という態度をとれと従業員に教えるからといってよくなるわけではない。心から愛されていると感じ、会社への貢献を正当に評価される環境で働く従業員が自ら実践するものだ(p.328)

「投書箱は所長にはいい逃げ道になる。だが、それは従業員の求めにいつでも応じるという責任を放棄することである。そういうところから困難な事態に陥ってしまうのだ。客室乗務員や顧客サービスの要望に応じられなくなり、彼らの方は対策や回答を教えてもらう人物と接触ができなくなる。すると彼らは判で押したように、自分の意見に耳を傾けてくれそうな次位の上司に相談することになる」。サウスウエスト航空では航空所長や各部長は、持ち時間の少なくても3分の1はオフィスから外に出て、歩き回る必要があることを自覚している。これは何も人の仕事を眺め、批判するためではない。仕事をしながら、時間をかけて従業員が直面している困難な問題を自分の目でしっかり確認するためなのだ。(p.332)

誠意というのは獲得すべきものであって、既得権ではない。(p.333)

サウスウエスト航空では従業員に対する賞賛の手紙も苦情の手紙も、顧客と従業員の両方に役立たせるために追跡調査をする。顧客からの手紙は従業員にとって学ぶ機会になるからだ。顧客の苦情調査にしても、従業音が自信や忠誠心を喪失したり、場合によっては解雇につながるような真相究明ではない調査は「おや、どうしたの?大丈夫?」と声をかける機会なのである。従業員には軌道修正をする機会になる(p.335)

従業員が顧客から賞賛の手紙を受け取ったときは、ケレハーから次のような趣旨のメモが届く。「顧客からの手紙のコピーを同封します。まさしく快挙です。脱帽します。こんな素晴らしい仕事を今後も続けてください。愛を込めて」。言わんとすることは簡単だ。従業員に同僚や顧客への心遣いを望むなら、同じ態度で従業員に接する必要がある。(p.336)

自分が実践して見本を示し、内側から変化をもたらす。つまり、従業員に望む行動の模範をごく自然に示すのである。従業員にしてくれと言う前に、自分自身の義務を果たすのだ。(p.344)

われわれが意識的に指導者に従うことを選択するのは、「彼らが奉仕者であることを確認し、信頼するからである」という。(p.345)

優れたサービスを提供することで有名な先輩の従業員と新入社員と組ませることによって、新入社員にサービス精神を叩き込む。例えば、顧客関係部の新入社員は4週間の実例学習コースを受ける。最初は地上業務で直接経験する。顧客サービス係と一緒にチケットを売り、搭乗券を渡し、手荷物に札をつける。空港の顧客サービスに関連のあることをすべて実践するのだ。新入社員が顧客関係部門に戻ってくると、今度は何か標準的なトレーニングマニュアルをただ通読するのではなく、先輩と従業員とチームを組んで、見学と学習という次の段階に入る。最初の週は、先輩が電話で応対するのを聞き、コンピューターを使って顧客の手助けに必要なオンライン調査を行うのを見学する。翌週は、さらに経験を積んだ従業員が外部からの電話に応対するのを聞く一方で、コンピューターの操作を学ぶ。最後にチームの役割を交代する。この時点で新入社員は顧客と話したり、1人でコンピューター操作を試みることもある。(p.348)

自分の判断で行動する自由がなければ、従業員は会社の規則や規制を責任逃れの口実にせざるを得なくなるということがパレットにはわかっていた。(p.350)

私たちは従業員が顧客にへつらうようなことは決して望みません。従業員は私たちが支援していることを知っているべきですし、わたしたちは実際に後ろで支えているんです。厳しく注意するのは、彼らが良識を働かせていないときだけです。(p.351)

従業員にはこう言う。「そんなことをすべて予想することはできないから、きみが一番いいと思うように処理してくれたまえ。きみが判断して、きみの自由裁量で決めてくれたまえ。われわれはきみの判断が正しいと信じている。きみが間違っていると思ったときにはそういうが、非難や中傷はしない」。(p.352)

問題が起こった場合には、サウスウエスト航空では従業員がその解決に取り組む。その問題の最も近くにいる人たちがその解決に最も適していると見なされる。たとえ、彼らが適切な解決方法を見出せなくてず何度か失敗したとしても、そうやって学んでくのがサウスウエスト航空のやり方なのだ。(p.368)

もしあなたが自分の影響力を広げたいと思うなら、次のことが参考になる。
1、 約束したことを必ず実行する・・・人に影響を及ぼすには誠実でなければならない。誠実とは、約束したことを必ず実行し、決して自分を飾らないことと言えよう。誠実であれば人はあなたを信頼するようになり、信頼されなければ誰にも影響を及ぼすことはできない。組織の中で影響力を広げるには、みんなから信頼されることが必要なのである。
2、 自分が管理できることに的を絞れ・・・自分が管理できることに的を絞って新しいことに挑戦している。だからこそ、1人の従業員の手で組織全体に影響を及ぼすことも可能なのである。
3、 準備は万全に・・・サウスウエスト航空の人たちが重要な問題に取り組むときは、まずその問題について徹底的に調査し、事実をきちんと整理する。連邦議会で聴聞会で証言した際の資料には、事実に基づく主張のすべてに、それを立証するための注釈がいくつも書き込まれていた。
4、 政治的な技術を磨く・・・相手が何をもくろんでいるのか、何に関心を持っているのか、何を恐れているのか、自ら進んで効率的に仕事をするようになるには何が重要なのかを見抜くことなのだ。情熱を傾け、正しい判断で理屈の通った議論をすることによって人々に影響を及ぼすことである。ほかに人たちに影響を与えるには、まず着実な計画を立て、自分のやろうとしていることを確信と熱意を持って訴えなければならない。訴え方に共感を引き出す情熱が込められていれば、人々を説得し、協力してもらえるだろう。
5、 愛情で人を動かす
6、 人の話を注して聞く・・・相手が何を望みどう感じているのか真剣に理解しようとする態度だ。経営者たちも自分たちの話に耳を傾けてくれることを知っている。さらに重要なのは、経営者たちが従業員の話を聞いて影響を受けるということだ。耳を傾けるだけで相手から何らかの行動や感情的な反応を引き出せる人は、大きな影響力を持っていることが分かる。
(p.371376)

創業時の従業員たちが自分たちの理想とする航空会社をつくることを共通の目標にしていたことだ。それは、一人ひとりが個性を発揮し、自主的に考え、仕事に喜びを見出し、質の高い顧客サービスを提供する航空会社をつくるという目標だった。(p.377)

偉大な指導者たちは、人に奉仕することを出発点としている。人々がリーダーシップに引かれるのは、自分という存在を超える大きな目的のために奉仕せずにはいられない気持ちになるからだ。成功を支えてきたのは、大変な重労働と自己犠牲なのである。バレットとケレハーはたいてい1日17時間、週7日働いている。2人ともほかの人たちにはそんなことを要求しないが、2人の旅行日程や労働量をこなそうとしたらほとんどに人が音を上げてしまうだろう。仕事が面白いので犠牲が埋め合わせられている従業員もいる。だが、サウスウエスト航空の従業員には、何かを失っている人たち(休みとか)もいるということを、確認しておく必要がある。(p.379)

人々は成長し、統一のとれた人格を形成し、将来、どんな問題にも対応できる有能な人材になるのだ。これは次のような考え方に基づいている。「一匹の魚を与えたら、その人に1日分の食糧を与えたことになる。魚の捕り方を教えたら、その人に生涯、食糧を与えた事になる」。(p.391)

指導者の関心は変革自体に向けられると同時に、変革の過程で人々がどう変わっていくかということにも向けられる。(p.391)




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