2012/03/25

ハーバードビジネススクールが教えてくれたこと、教えてくれなかったこと


title:ハーバードビジネススクールが教えてくれたこと、教えてくれなかったこと
author:ビル・マーフィー・ジュニア
publish:阪急コミュニケーションズ

やっぱり起業したい人にとって先人の体験談を聞く事が重要でタメになる
ハーバードビジネススクール(HBS)で起業した3人の新卒から現在までを
インタビューを重ねて執筆したこの本は
メンターをすぐに探せない私みたいな人にはぴったりな本

まだ起業構想段階のわたしには将来進むときにぶつかる試練が分かるし
実際に事業計画を書いたり、資本を集めたり、人を雇ったりと
一段ずつステップをあがっていくときに指南書として見ていきたい本

サイトを確認して3人の会社は健在だった
そういう点もリアリティがあって素晴らしいな

本編とは脱線したミニベンチャーをしている話も興味深かった
ラッシュアワー時の通勤客を相手にしている1人運営のテイクアウト専門カフェは
お金のやりとりはお客さんに任せているみたい
注文聞いて、商品つくって、渡す
この3ステップに集中することで数をこなす
常識的な「お金のやりとりはしっかりやる」というのは無視したこの画期的なアイデア
きちんと払わない人はいるみたいだけど
スピード重視という通勤客のニーズをしっかりキャッチしているから
来客数できちんとカバーできているみたい
この常識を疑う姿勢も見習いたいひとつ

HBSみたいなケーススタディをメインにした教室があるといいな
受け身の授業や答えが決まっているテストではなく
いろんな解釈によって解答が得られて
知識やアイデアを広げて、頭を柔らかくする
どこかでやってるかな



・ほとんどのベンチャー企業は、地味で変動の乏しい業界で誕生する
・ほとんどのベンチャー企業は、特別な技術や競争上の強みを持たず、明確な成長プランもなく、従業員は創業者だけで年商は10万ドル未満である
(p.1)

多くの起業家の失敗談は成功のヒントになる。起業の方法を自分で一から考える必要がない。現代の起業家が直面する問題の多くは、すでに成功した起業家たちがどこかで経験している。賢明な起業家ならこうした先人の軌跡をよく研究して、自分が成功する可能性を大幅に高めることができる。(p.3)

重要なのは個人のスキルよりも、どうやるかというプロセスや、やってやるぞという信念、そしてその目標に向けて全力投球するコミットメントだ。もちろんスキルも重要だ。けれども、スキルは道具にすぎない。MBA保有者(つまりスキルを持つ人)を雇って金融やマーケティング、人事などの業務を任せたり、助言をもらえばいい。(p.41)

起業家として成功するには、勇気、ある種の人格、信念が必要だ。(p.42)

起業家として成功するための10のルール
1、 成功を固く決意する
2、 まず問題を見つけ、それから解決策を考える
3、 大きく考える、新しく考える、もう一度考える
4、 1人ではできない
5、 1人でやらなくてはいけない
6、 リスクを管理する
7、 リーダーシップを学ぶ
8、 売り込み方を学ぶ
9、 粘って、辛抱して、勝つ
10、 一生続ける
(p.48)

ビジネススクールで求められるのは莫大な知識を学び、暗記して、マスターすることではないと、マークは早い時期に気づいた。HBSは特定のスキルや事実を教えることよりも、どうやって問題にアプローチして分析するかを教えることに重点を置いていた。学生に求められるのは、複雑なビジネス上の問題を分析し、どの情報が重要でどれがそうでないかを見極める能力を養うことだった。(p.53)

シャウ教授は、「起業家になるということは、営業マンになるということだ。君たちはひたすら売り込み続けなくてはいけない。まだ自分の会社が存在しないときから、自分を投資家に打ち込み、未来の社員や顧客に会社の理念を売り込む。まだちっぽけで資金繰りも不安定な会社をサプライヤーに売り込む。『自分は成功する』という確信を他人に売り込むのだ」(p.68)

「あなたはどれくらい切実に起業したいと思っていますか?」これは決してクイズではない。自分がなぜ会社を立ち上げたいのか最初によく考えておくと、その先がずっと違ってくるのだ。(p.84)

ほとんどの起業家の卵は、イノベーションについてあまり考えたこともなく、成長計画も十分な資本もないまま事業を立ち上げる。それまでの仕事を失ったから、あるいは他人に雇われるのがイヤだからという理由で自分で会社を作ったという人も多い。彼らにはきちんとした計画がなかったのだから、失敗したとしても当然だ。(p.85)

起業を夢見る人なら誰もが考えておくべきこと
起業以外に時間や資金を要する責任はないか(結婚やこどもなど)
メンターや手本になる人はいるか・・・あなたの努力に純粋に興味を持ってくれて、頼れる人は誰だろう。いいアドバイスをくれると同時に熱心に励ましてくれる人は誰だろう。そういう人が思い当たらないなら、今からでも真剣に探したほうがいい。
機会費用を見極める・・・起業のチャンスに賭ける前に、そのコストを真剣に考える(リスクヘッジもしておくとなおよい)
これまでの実績をリストアップする
自分のリスク許容度を知る
(p.8991)

実は起業の決意を固めると、最高のアイデアを思いつきやすくなる。本気で起業を決意すると、瞬く間に世界が違うように見えるのだ。
問題はチャンスに変わる
「なぜやるか?」が「なぜやらないのか?」になる
「昔からこういうやり方だった」が、「違うやり方でやってみたらどうだろう」になる
(p.92)

この本に登場する3人は、最終的に成功する。それは自分の会社を立ち上げると決意したとき、自分の周りの世界をいかに改善できるかを考えたからだ。(p.93)

大きな構想、説得力のある事業計画、そして資金と投資家。必要な要素は全てそろった。会社を立ち上げる準備は整った。(p.109)

重要なのは、本当に解決したい問題を考えることからスタートすることだ。先に解決策を考え、それがあてはまる問題を探すのはやめたほうがいい。多くの起業家はここで道を誤る。3人は自分がよく知っている問題を見つけた。しかも、それは彼ら自身が解決したい問題でもあった。(p.116)

優れた起業のチャンスは常に個人的なものであること(p.117)

スティーブンソン教授はいう。「テクノロジー系企業に失敗が多い理由の1つは、創業者が市場のことをまったく知らないからだ。テクノロジーのことは知っていても、顧客の側にはその商品を買わなければならない差し迫ったニーズがないのを知らないことが多い。」(p.118)

「レストランを『人間は食べる必要があるし、僕は料理が好きだ』といって起業しようとするが、きちんとした計算をしない。自分がかろうじて生活をしていくだけの収入を得るのには何人の客が必要か。料理が20ドルで利益率が25%だったら、最低限の収入をあげるだけでも相応の数の客が必要だ。キャパシティの問題もある。レストランが満席になってしまえば、どんなに客が来ても食事は出せない。だから、座席数によって限界が生じる。」と、スティーブンソン教授は言う。(p.119)

HBSでは、卒業後2〜3年はそれまでとは違う業界で働くように助言している。試行錯誤を重ねれば、本当に興味のある業界が見つかり、それについてもっと多くを学べる仕事に就けるというのだ。(p.119)

どうしても解決したい問題や特に興味を引かれる業界さえ見つからなかったら、どこに住みたいかを決めて、将来性が高くてチャンスが豊富にある業界を選ぶこと。できるだけ最高の条件の仕事を見つけて、優れたメンターを探すこと。うまくいけば特定の業界に直接触れることができるかもしれない。そうしたら、その業界の人たちがどんな問題を解決したがっているのかが見えてくるだろう。(p.120)

「顧客が本当に問題だと思っていることを解決できるかどうかが、起業の成否を分ける」と言うのは、ノーム准教授。なかにはさほど深刻でない問題も存在する。それを見極めるには、ある問題を解決すれば楽しみが増えるのか、それとも苦痛を取り除けるのか考えるといい。「『あったらいいな』という程度のアイデアと、人々が切望するアイデア」を見分けることも重要だ。(p.121)

苦痛を乗り除くビジネス(ペインビジネス)は重要な問題を解決するものであり、人はそのためにカネを払うことをほとんど躊躇しない。これに対して楽しみを増やすビジネス(プレジャービジネス)はそれほど差し迫った問題を解決するわけではない。素晴らしいときもあるが、成功率は低くなる。(p.121)

自分が興味あること、あるいは自由時間をどう過ごすかを思いついたら、それに関して常々不満に思っていることがあるか考えてみよう。自分が関心あることに焦点を絞れば、自分が気になる問題(それはきっと他の人も気になっている)を見つけるのはずっと簡単になる。(p.122)

クリスは新会社のCEOとなり、ブラットが事業開発担当のバイスプレジデント、スティーブがブラッドの下で働くディレクターに就任した。ベンチャーキャピタルから投資が得られたときには、アンがマーケティング担当のバイスプレジデントとして参加することになった。海軍時代のコネを使って、何人かの退役将校と著名人を会社の顧問に加えた。弁護士も雇った。(p.141)

意識的であれ無意識であれ、3人とも自分のアイデアをスケールアップするよう訓練してきた。(p.147)

ある問題の革新的な(そして正しい)解決法を最初から見つけた人はほとんどいない。最初のアイデアは大間違いで、それに気がついてからブレーキを踏み、別の方法を試したおかげで成功したという起業家は少なくない。(p.152)

マーラが最初に自分の知っている問題をビジネスのテーマにしたことを忘れないでほしい。だから、彼女は自分の解決策が間違っていたと気づいたとき、ほぼ一夜にしてアプローチを変えることができた。(p.153)

ノーム准教授は、ラッシュアワーの通勤客にコーヒーを売るミニベンチャーの話をしてくれた。店員はたった1人。この店員は、顧客の注文をとり、つり銭をわたし、注文の品を用意するという伝統的なビジネスモデルは採用せず、カウンターに一定の小銭を置いて客に自分でつり銭を取らせた。ときには価格通りに代金を払わない客もいたが、コーヒーを用意するスピードがあがったおかげで、その損失は十分補うことができた。(p.153)

現実的なプランがないのに野心だけが大きい自称「起業家」ばかりに会ってきたが、ブルーマーキュリーには実体的な事業があり、マーラは収益や成長計画といった具体的な話をすることができた。マーラが魅力的な女性であることはジャマにならなかった。(p.171)

マーラは完璧なプレゼンテーションをした。彼女自身が理想的な顧客だから、顧客が何を求めているかよく分かっていたし、意欲的で分析的なマインドも持っていた。マーラがバリーという完璧な補佐役を見つけたことにも感心した。バリーはプレゼンテーションのほとんどをマーラに任せていたけど、何かをやると決めたらとことんやり遂げる雄牛のような存在感があった。(p.173)

先を見る目とバランスの取れた努力によって自分を正しい場所に置き、自分が興味深いと思った人たちと関係を構築してきた。(p.181)

クリスは、HBSで自分が落ちこぼれでhないかという不安を乗り越えてからは、興味深いと思った人に自ら進んで近づいた。MITのデザインラボラトリーが面白いことをやっていると思ったら、そこを運営する人々と親しい関係を築いた。それが製薬関連会社の構想につながった。(p.182)

一緒に夕食に出かけたり、パーティーに行ったり、授業に出席していた友人が、究極的には重要なビジネスネットワークの核になることにマーク自身が気づいたのは、ずっと後になってからのことだ。最初はただ、自分が楽しいと思う人と一緒にいたいと思っただけだ。(p.183)

相手が将来自分にとってどんな風に役に立ってくれるか分からなくても、面白い人と大勢知り合うことは重要だ。最終的に将来助けを求めるのは、その大勢のうち一握りかもしれない。けれども、自分が興味深いと思った人と純粋に親しくなれば、その人が将来「使える」かどうかは重要ではない。そういう人と親しくなること自体が喜びとなるからだ。(p.183)

起業を成功させるにはチームが必要だ。例えば、資金調達は通常23人でやるが、そのグループには壮大な構想を持つアイデアマンと、目の前の作業をばりばり片付けるブルドーザー型の人間の両方が必要だ。もちろん理想は、創業者が両方の役割に長けていることだが、そういう人はめったにいないし、成功する起業家は自分が苦手な部分を正直に認めるものだ。(p.185)

「優れた事業計画を書く方法」という論文が掲載された。意外にもその中で、サールマン教授は事業計画を重視するのは最小限に抑えるべきだと主張している。ベンチャー企業の成功に事業計画が与える影響は20%程度であり、起業家は「あらゆるベンチャー企業にとって決定的に重要な相互作用要因」に注目するべきだとしている。なかでも重要なのは、「ベンチャーを始める人間と、ベンチャーのために重要なサービスや資源を提供する弁護士や会計士やサプライヤーなどの外部当事者」だという。(p.186)

ベンチャーキャピタルが真っ先にチェックするのは、経営幹部についての項目だ。「私はアイデアではなく、人間に投資する」とHBS卒業生でベンチャーキャピタリスとのアーサー・ロックは言う。(p.187)

「成功する会社の理由は何か。それは経営陣の強さだ。私たちは傑出した人材を雇うことができる起業家を探す。パワフルな知性を持ち、競争の性格を理解し、勝つために何が必要かを理解している創業者やCEO、つまりいずれ勝利する人間だ。もちろん会社の規模やビジネスモデルや競争といった『材料』もチェックする。しかし成功の5075%は人間の力量で決まる」(p.187)

HBS講師によれば、「我々が(入学希望者を選ぶ際に)最も重視するのは、一緒に仕事をしている人たちからの推薦状だ」。HBSは個性があって、知的で、リーダーシップと野心のある生徒をもとめている。そうした学生さえ集めれば、あとは学生たちのジャマをしないことが最重要となる。(p.189)

HBS卒業生並みの強固なビジネスネットワークを構築するにはどうすればいいか。マークの答えはこうだ。「人と出会う最高の手段は情熱だ。ビジネスの世界には情熱的なことが少ないから、人は生き生きとしていて、何かに本当に燃えている人に引き寄せられる。それ以外のことは全部あとからついてくるさ」。(p.189)

ネットワークづくりでも自分がおもしろいと思う人はどんな人か考えてみるといい。根気も重要だ。私は作家の卵にエージョントや出版社を見つける方法を聞かれたら、「『イエス』という答えをもらうまでに100回の『ノー』を経験する覚悟があるかい?」と聞くことにしている。原稿を100ヶ所に送る根気があるなら、長期的に見てこの仕事を本気でやる気があると見ていいし、成功する見込みもある。これは起業やネットワークづくりでもおなじだ。(p.190)

アンは思った。私たちが新しい考え方をすることは重要だけれど、それをビジネスとして成り立たせるには、顧客にも新しい考え方をしてもらう必要がある。(p.199)

大企業は従来のビジネスモデルと大幅に異なるアプローチには反応しないし、認識さえしないことが多い。大手求人情報会社よりも少しだけましなサイトを作っても、既存の大手はすぐに追いつく方法を見つけるだろう。けれどもマークのビジネスモデルは大胆で型破りのものだったら、大手はどう対応していいか分からないに違いない。(p.206)

マークは「商品」の開発と改良を続けた。会社を立ち上げるのに必要な資金の調達方法も考え始めた。マークはアレックスと議論していくうちに、ウェブサイトの試作版をつくる必要があることに気づいた。実際に動いているビジネスモデルを示したほうがいい(収益をあげていればなお良い)。そこでまたマークはジレンマに陥った。収益をあげていなければ投資は呼び込めない。しかし投資がなければ収益は生みだせない。(p.209)

1人では起業はできない。しかし同時にすべてはあなた次第だ。この本を読んでいるのはあなただし、起業家になりたいのもあなただ。あなたにぴったりのビジネスを思いつき、あなたにぴったりの仲間を見つけ、最終的に最も高い報酬を得るのはあなただ。だから最終的に多くのことがあなた次第で決まる。(p.212)

マークの自己分析によれば、成功した理由は「自分の意思を頑固に貫いたこと」だ。「(そういう自信は)ある程度は持って生まれたものだと思う。起業家になるということは、『そんなやり方は存在しないし、そんな領域を取り扱っている会社はない。でも私にはできる』と断言することだ。それを傲慢だと呼ぶ人もいるだろう。でも、僕に言わせればそれは自信だ。」(p.214)

起業心理に関する研究でも、自信と粘り強さ、そして1人で実行する能力の重要性が指摘されている。「優れた創業者が直面する難しい問題の1つは、単独プレーヤーであると同時にチームプレーヤーでなくてはいけないことだ」。(p.217)

真の起業家(言い換えれば、画期的なアイデアを思いつき、そのアイデアをもとにビジネスを始める勇気を持ち、情熱と高い能力で実行する人)は、どこにでもいるわけではない。(p.218)

シャウ教授は、プリンストンでHBS式のケーススタディを導入するとともに、成功した創業者たちにインタビューして論文を書くという課題を与えている。(p.219)

クリスは、「ケースメソッドのすばらしいところは、CEOの立場になって考えるようになることだ。多くのCEOが直面した問題を毎日のように研究し再現するから、現実でなくてもCEOになった気分になれる」。こうしたロールプレイが、自分もいつかこうした大きな役割を果たせるという自信を持つ助けになった。と言う。(p.219)

マークは、週間のニュースレターに加えて、投資家になってくれそうな人に会社の最新情報を送り続けた。きちんと目を通してもらえるように、メッセージはごく簡潔にした。
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2003
923日 大きな飛躍の1週間
無料会員は8000人に増加
会員に314件の高給営業職の求人を紹介
試験的なマーケティングキャンペーンにより会員獲得コスト(CPA)は1,25ドルの予想を大幅に下回る
今週は新しいコスト・パー・クリック(CPC)および直接登録キャンペーンを開始
登録者の声「今まで見たなかで最高のサービスだ。営業は重要な職種なのにこの分野の求人サイトがうまくいっていなのは奇妙な話だ」
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(p.225)

一度ある会社を買おうと決めたら、マケルビーが一番関心を持つのはその会社を構築し、動かし、救った人間だという。モンスターは小さな会社を数100万ドルで買うことはしょっちゅうしている。それはそのビジネスを欲しいからではなく、そこで働いている人間が欲しいからだ。自分が買収したいと思うベンチャー企業を育てたチームを手に入れるためなら、500万ドルは安いものだとマケルビーは思っていた。(p.242)

マーラの教わった最も重要だと思われるのは「DROOM(資金不足に陥るな)」だ。別の言い方をすれば、「資金的なリスクは回避せよ」だ。リスクを回避するということは、十分な資金がないなら起業はやめておけ、という意味ではない。必要がないときはカネを使うなということであり、必要になる前にカネを調達し、常に売上を増やして収支を改善することに力を注げという意味だ。(p.245)

ベンチャー企業を立ち上げる具体的な計画を立てる前に、あなた自身が自分のベンチャーに何をもたらせるか考えてみよう。リスクを引き受けるのが誰かによってリスクの大きさは異なる。(p.250)

ビジネスの活力源は現金だ。けれどもそれと同じくらい重要なのは、お金と金融に関する十分な理解だ。自分の会社を立ち上げると決めているなら、金融か会計について何らかの経験をしておくか、この分野の基礎を学ぶべきだ。現実な問題として、キャッシュフローやバランスシートを理解しておくと、日々の重要な決断の助けになるし、リスクを大幅に減らせる。(p.251)

失敗したときはどうするかも考えておくべきだ。それは例えば自分のベンチャーにはパートタイムで取り組むとか、必要なら戻れるように以前勤めていた会社と良好な関係を維持しておくのもいい。(p.252)

支出とリスクを最小限に抑えたいなら、資産は購入するのではなく借りよう。(p.253)

スタッフを採用するとき本当に重要な要素は、能力と適性の2つだけだと、クリスは後になって気がついた。従って求職者は全員4つのカテゴリーのいずれかに属することになる。
適性も能力も抜群
適性も能力も低い
適性は抜群だが、能力は低い
適性は低いが、能力は抜群
(p.265)

チーム全員で熱心で能力がなければ、遅かれ早かれ会社の健全性が脅かされることをクリスは大きな犠牲を払って学んだ。仕事ができない人間を雇っておくなら、欠員があったほうがましであることがほとんどだ。(p.266)

マーラの経営スタイルは、相変わらず小売業としては型破りのものだった。投資家たちが福利厚生費の節約になるからとアルバイトを雇うことを勧めても、頑として正社員しか雇わなかった。顧客が受けるサービスの質が低下するなら、経費削減には価値はないと確信していたのだ。ボーナスも店舗の成績をベースに支給していたから、従業員は競い合うよりも協力し合おうとした。さらにマーラは全店舗の採用面接を自らしていた。彼女は自分にもブルーマーキュリーの各店舗にも高いレベルを要求したのだ。(p.267)

リーダーシップとは何か。誠実であること、明快であること、熱意があること、正しい人材を見つけること、スタッフに具体的な目標を示しつつ意思決定の権限を与えること。重要なのは、約束をしてその約束を守るために全力を尽くすことだ。(p.272)

CEOとして最も重要なのは、スタッフに正直に接することだと、クリスは言う。以前は人とコミュニケーションを取るとき明確さに欠けたときがあった。それに気づいてからは少しずつ分かりやすい言葉を使い、相手に気を配るようになった。(p.274)

「スタッフには、仕事で一番重要なのは情熱だと言い聞かせた。仕事に情熱を持てないなら、情熱的になれるように助けるか、心から情熱的になれる他のものを探すのを手伝った。」と、クリス。(p.274)

毎週金曜日に全社会議がある。そこで、マークは会社の経営状況を率直に話し、会社が今何に投資していて、なぜそれが重要かを具体的に説明したという。(p.275)

パーティーで重要なのは、楽しむことだけではない、とマークは言う。自分の会社に対する情熱と、仲間の働きに対する感謝の気持ちを示すいいチャンスだというのだ。(p.275)

リーダーシップのスキルで特に学ぶのが難しいのは、誰にでも好かれる経営者はいないという事実だ。3人は、偉大な会社をつくるには従業員に愛されるよりも従業員を統率できるリーダーになるほうが重要だということを理解していた。だからこそ彼らは成功したのだ。(p.277)

本当に重要なのは、人と人の間で起こることだ。例えば、雇用できるかクビにできるか。2人、7人、25人のミーティングを仕切れるか。従業員に共感してもらえるか、やる気をおこさせられるかだ。(p.278)

創業CEOは大きな組織を運営するのに必要な経営とリーダーシップのスキルを持っていないから、最初の製品開発を終えたときや大規模な投資を取り付けたときにCEOの座を退く傾向が強い。(p.278)

起業家の場合、最初に売り込まなくてはならないのは自分自身だ。それができなければ、あなたの便ハーは決して実現しない。だから、セールスに慣れること。ただし、「どんな商品を誰にでも売り込む」方法を伝授する人に出会ったら、急いで立ち去ろう。あなたは、あなたの商品を売りたいのだ。多くの人が本当に問題だと思っていることの解決策を売り込みたいのだ。だから、あなたが学ばなくてはいけないのは、あなたのアイデアとビジネスを売る方法だ。(p.302)

今回の求職活動で、あなたをリスクペクトしない会社で働いたり、あなたが自分をリスペクトするのをやめてしまうような仕事につかないでほしい。みなさんには十分な才能があり、前向きで能力もある。(p.307)

「能力も運もあって成功する起業家もいる。でもそういう起業家だって、最初は将来どうなるか何も分からなかった。成功するのはいいアイデアが1つあったからじゃない。死ぬほど一生懸命働くから、決してあきらめないから、自分を常に改革するからだ。いつも不安だし、少しでも意味のあるデータがあるたびに微調整を繰り返さなくてはいけない。そしてそのすべてをやったうえで、さらに運が良くないといけない!」(p.333)

『誠実に行動すれば、何も失うものはない。出資金をすべて使い切ってしまっても、会社が崩壊しても、誠実だというきみの評判が傷つかなければ、次にチャンスが来たときまた相手にしてもらえる』(p.334)

起業スキルを磨きたいと思っているなら、これまでにうまくできたこと、うまくいかなかったことを意識的に振り返ろう。マークは会社の歴史と自分の失敗から学んだことをブログに書いている。クリスは起業について記事を書いたし、時々日記をつけていた。(p.335)

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