2012/03/06

スティーブ・ジョブズ i



title:スティーブ・ジョブズ i
author:ウォルター・アイザックソン
publish:講談社

天才とも言われるし最低なヤツとも言われる
両極端なエピソードが多いカリスマ
もう亡くなってしまったからこの本がどこまで真実を語っているかは確認できない
だけれど他人が書いた伝記というのは
「身近な人」を中心として
どう見られていたか、どう扱われていたか、という内容が多いのだろうか

こういう出来事が起きてそのときこんなこと考えながら生きてきたよ
ではなく
こういう出来事が起きて周りの人はこういう風に思って彼のことをあんな風に分析した
っていう客観的なはなしが多い
もちろんジョブズへのインタビューもあるけれど
量的にはすごく少ないから
ジョブズの頭の中を覗けるかもっていう思惑は外れた


なんだろう。。。
ジョブズってすごく人間的だなって思った
他人の扱いはすごくひどいときもあるけれど
私が出会ってきた人にはこういう人はいた

ジョブズの歩んできた出来事
養子、LSD、瞑想、インド、食事制限、父との機械いじりなどが
他人に冷たい人格、シンプルさを良しとする美的感覚、コンピューターへの関心など
彼の善悪とされる面を作ってきた

自分が出会った人や出来事が自分をつくる



ウォズはおひとよしの魔法使いだ。かっこいいものを発明し、その成果は気軽に他人に渡してしまう。ジョブズはそれをユーザーフレンドリーにする、パッケージにまとめる、マーケティングする、そして利益を上げる方法を思いつくのである。(p.67)

「スティーブの、ぎりぎりまでそぎ落としてミニマリスト的な美を追求するのも、厳しく絞り込んでゆく集中力も、皆、禅から来るものなのです。」と、コトケ。のちに、ジョブズも「抽象的思考や論理的分析よりも直感的な理解や意識のほうが重要だと、このころに気づいた。」と語る。(p.74) ※直感的な理解や意識を手助けしたのが禅ということになる。今でいえばヨガにあたるのかな。

「スティーブの得意技に、話し相手を見つめるというのがあった。相手の目をじっと見ながら話して、目を離さない。そうやて、自分が欲しい反応を手にいれるんだ」と、コトケ。(p.78)

「わたしが出会った頃のスティーブは、恥ずかしがり屋でおとなしく、引っ込み思案な男でした。売り込みの技術や、自分の殻を破り、積極的に行動をして状況をコントロールする方法などは、ロバート(最初に出会ったカリスマ的でペテン的なところがある、カリスマ)が教えたんだと思います。」と、コトケ。(p.78) ※人は変われるってこと!

「(アタリで)僕が輝けたのは、ほかの連中がどうしようもなかったからだからね」と、ジョブズ。(p.86) ※本当のことかもしれないけど、どうしてここまで自分が正しいと思い切れるんだろう。

「インドの村では、合理的な思考は学ばない。彼らは別のものを学ぶ。それが直感の力、体験に基づく智慧意の力だ。じっと座って観察すると、自分の心に落ち着きがないことがわかる。じっくりと時間をかけて落ち着かせて、とらえにくいものの声が聞こえるようになる。このとき、直感が花開き、物事がクリアに見え、現状が把握できるんだ。ゆっくりした心で、いまこの瞬間が隅々まで知覚できるようになる。いままで見えなかったものがたくさん見えるようになる。これが修行であり、そのためには修行が必要だ。」と、ジョブズ。(p.94) ※瞑想の力

U2のボノは「21世紀を発明した人々が、スティーブのように、サンダル履きでマリファナを吸う西海岸のヒッピーだったのは、彼らが世間と違う見方をする人々だからだ。東海岸や英国、ドイツ、日本などのように階級を重んじる社会では、他人と違う見方をするのは難しい。まだ存在しない世界を思い描くには、60年代に生まれた無政府的な考えが最高だったんだ。」と考える。(p.106)

ホールアースカタログの最終号、裏表紙には「ハングリーであれ、バカであれ(Stay Hungry Stay Foolish)」の一言が添えられていた。(p.107)

ウォズはちょっとしたスタンドアロ−ンのコンピューターは、デスクトップに置けるのではないかと、気づいた。これは将来につながるアイデアだった。キーボード、スクリーン、コンピューターのすべてをまとめてパッケージとし、個人に提供するのだ。「このとき、パーソナルコンピューターといってもいいビジョンが、ぼくの頭に浮かんだんだ。そしてその夜、ぼくは、のちにアップル1として世に出るもののスケッチを描き始めた」と、ウォズ。(p.110) ※スティーブが発案しているわけではない。ウォズ→ジョブズに考えが伝わる。

このマシンにジョブズは感動し、端末としてコンピューターにつなげるか、、など質問を次々とウォズにぶつけた。部品調達も手伝い始める。「ああいうことができちゃうのがスティーブって男なんだ。販売責任者との話が上手いんだ。ぼくにはアレができない。内気すぎてね」とウォズ。(p.111) ※お互いを補いあっている

ジョブズはウォズの作ったモノが無償であるべきという考えに反対だった。「ぼくがすごいものを設計するたびに、それでお金を儲ける方法をスティーブが見つけてくれる。自分ひとりだったらコンピューターを売ることはなかったとウォズは言う。(p.112)

ジョブズはウォズの操縦方法をよく知っていた。必ず儲かるなどとは言わず、絶対におもしろい経験ができる、だからやろうと誘ったのだ。(p.113)

ウェイン(起業経験のあるアタリで働く中年エンジニア)は、優れたエンジニアというのは、優れたマーケティング担当者とチームを組まなければ人々の記憶に残る仕事はできない、そのためには設計をパートナーシップへ委託する必要がある。と、ウォズを説得した。(p.115)


メイシーズ百貨店を歩いていると、クイジナート社のフードプロセッサーに惹かれた。そう、こんな感じで、明るい色のプラスチックを成形した、流麗なケースがいい。(p.129) ※心にひっかかるもの、インスピレーションは日常でいい。それに気づけるかどうか。

冷却用のファンがいらない電源とすること(彼はその後もその姿勢を貫く)。コンピューターのファンは、“禅っぽく”なかったからだ。集中力が乱れてしまう。(p.130)

完璧を求めるなら見えない部品もきれいに仕上げなければないと、ジョブズは父親から学んでいた。情熱を持って完璧を追い求めた結果、ジョブズは本能的にすべてをコントロールしようとした。(p.131)

ジョブズがマーケティングについて何も知らず、ジョブズへ自分で売り歩く事に疑問を抱いていないらしいてだった。そこでバレンタイン(マーケティングマネージャー出身のベンチャーキャピタル設立者)は、「わたしに投資をしてほしいなら、まず、マーケティングと物流が分かり、事業計画が策定できる人をパートナーに迎えなさい」とアドバイスする。年上からアドバイスされると、ジョブズは反発するか、さらにアドバイスを求めるかの両極端に走ることが多い。このときは「3人、推薦してもらえませんか?」と頼む。(p.133)

「金儲けを目的に会社を興してはいけないという点だ。真に目標とすべきは、自分が信じるなにかを生み出すこと、長続きする会社を作ることだというんだ。」と、ジョブズ。(p.137)

マークラ(バレンタインに紹介してもらった事業計画を策定できるパートナー)は、原理を1ページにまとめて、「アップルのマーケティング哲学」とまとめた。
1、 共感・・・「アップルは、他の起業よりも顧客のニーズを深く理解する」
2、 フォーカス・・・「やると決めたことを上手に行うためには、重要度の低い物事をすべて切らなければならない」
3、 印象・・・「プロフェッショナルかつクリエイティブな形で提示できれば、評価してほしいと思う特性を人々に印象づけることができる」
(p.137)

iphoneipadの箱を開けたときに感じるなにか、それが、その製品に対する想いを決める第一歩になってほしいと僕らは考えている。」と、ジョブズ。(p.137)

レオナルド・ダ・ビンチのものとさる格言は、その後、ジョブズのデザイン哲学を支えることになる「洗練をつきつめると簡潔になる(Simplicity is the ultimate sophistication.」。(p.140)

ゼロックスのプレゼンをみて、「あのときは、目からうろこがこぼれ落ちたよ。そして、未来のコンピューt−あのあるべき姿が見えたんだ。」とジョブズ。これこそ、ジョブズの求めていたブレークスルーだった。(p.165)

「人類が成し遂げてきた最高のものに触れ、それを自分の課題に取り込むということです。ピカソも、「優れた芸術家はまねる、偉大な芸術家は盗む」と言っています。我々は、偉大なアイデアをどん欲に盗んできました。(p.166)

新しいアイデアだけでイノベーションが生まれるわけではない。そのアイデアを現実とする行為も等しく重要なのだ。(p.166)

「スティーブは、インターフェースのすべてについて、ユーザーが気持ちよく感じられるようにしなければならないと考え、絶対にゆずりませんでした。」と、アトキンソン。(p.170)

「彼の周囲では現実が柔軟性を持つんだ。誰が相手でも、どんなことでも、彼は納得させてしまう。本人がいなくなるとその効果も消えるけど、でも、そんなわけで現実的なスケジュールなんて夢なのさ」と、トリブル(現実歪曲フィールドの名付け親で、ソフトウェアデザイナー)(p.193)

「カリスマ的な物言い、不屈の意思、目的のためならどのような事実でもねじ曲げる熱意が複雑に絡み合ったもの。それが現実歪曲フィールドです。」と、ハーツフェルド。(p.193)

何が真実なのかを考えることなく、断言してしまう。他人に対してだけでなく自分に対しても、現実の認識を強烈に拒むのだ。ビルアトキンソンは言う「スティーブは、自分自身さえだましています。そうして自ら信じ、血肉としているからこそ、ほかの人たちを自分のビジョンに引きづり込めるのです」。(p.195)

現実歪曲フィールドの根底にあったもの、世間的なルールに従う必要がないという確固たる信念だ。(p.195)

アトキンソンは部下に対して、ジョブズの言葉を翻訳機を通して聞くように指示していた。「「くだらない」という彼の物言いは、「これがベストなのはなぜか説明してみろ」という質問として聞くようになったのです。」(p.200)

「スティーブの物言い(「くだらない」)を押し返すこともできるけれど、同時に彼の言葉に耳を傾けるべきなのです。往々にして正しい事が多いからです。」と、エンジニア。(p.200)

アトキンソンは「スティーブは、全体像をとらえることで、社員のモチベーションを上手に高めるのです」と、語る。ハーツフェルドは言う。「ジョブズは自分をアーティストだと考えており、設計チームのメンバーにもそう考えるようしむけました。目標は競争に打ち勝つ事でもなければ、お金を儲けることでもありません。可能な限りすごい製品を作ること、いや、限界を超えてすごい製品を作ることでした。」(p.202)

ジョブズは語っている、「優れた人材を集めれば、甘い話をする必要はない。そういうものだと僕は学んできた。そういう人は、すごいことをしてくれると期待をかければ、すごいことをしてくれるんだ。特A+のプレーヤーはそういう人同士で仕事をしたがるし、Bクラスの仕事でもいいと言われるのをいやがる。(p.203) ※モチベーションの上げ方を、お金ではなく、自己実現に重きをおいている

落ち着いた色調でいかんも工業製品という感じのソニー製品が好きだったジョブズは、1981年を契機に好みが大きく変化する。この年の会議は、イタリアのスタイルがテーマーで、はまってしまい、すごいインスピレーションだった。(p.205)

「神は細部に宿る」や「少ないほうが多い」などの名言がある。バウハウスも、大量生産に適した機能性が美的感覚と一体化しているのだ。(p.205)

「当社は明るく、ピュア製品、ハイテクらしさを包み隠さない製品とします。とても、シンプルです。また、近代美術館に収められてもおかしくない品質を目指します。会社の経営、製品の設計、広告とすべてをシンプルにするのです。とてもシンプルに」と、ジョブズは言います。このモットーは、「洗練をつきつめると簡潔になる」という表現でカタログに掲載されました。(p.206)

デザインをシンプルにする根本は、製品を直感的に使いやすくすることだとジョブズは考えた。(p.206)

「すばらしい芸術は美的感覚を拡大する。美的感覚の後追いをするんじゃない」と、ジョブズ。(p.209)

パソコンいじりが趣味の人やハッカーにとって、これ(マザーボードに触れることができないなど)はクールではない。しかし、マッキントッシュは一般の人向けとジョブズは考えていた。だから、きちんと管理された体験を提供したいと。適当な回路基板をスロットに挿し、エレガントなデザインをぶちこわすなど、誰にも許すつもりはなかった。(p.223)

「スティーブはよくアップル2について、「我々がコントロールできていない。だから、みんな、いろいろとおかしなことをしようとするんだ。あの失敗は二度と繰り返さない」と愚痴っていました」と、ベリー・キャッシュ。(p.224)

1982年の研修会で、自分の考えを書き始めた。
「妥協するな」
「おかしなものを作るくらいなら、遅れたほうがましだ」
「旅こそが報いだ」
「かっこいいものを見たいと思わないか?」
Macチームというのは、至高の任務を与えられた特任部隊なのだとジョブズはよく語っていた。(p.231)

研修会で訴えたこと、「海軍に入るよりも海賊になろう」だ。
どのようなものにも立ち向かう反逆者魂を持ってほしい。むちゃくちゃをしながら、どんどん先に進む冒険好きになってほしい、自分たちがしていることに誇りを持ちながら、まわりから次々と盗むチームになってほしい、と思ったからだ。(p.233)

Macチームの古参メンバーは、ジョブズに反論しても大丈夫だと分かっていた。問題をきちんと理解していれば反論してもジョブズは怒らないし、にっこり笑って誉めてくれることもある。そして、現実歪曲フィールドに詳しい一部メンバーは、その先があることを発見する。必要なら指示を黙認しても大丈夫なのだ。その結果うまくいけば、権力を無視する意思の力や反逆者精神が評価される。そもそも、彼自身がそうしてきたのだから当然かもしれない。(p.234)

ジョブズは、やってみたいという思いはあるが、会社経営ができるとは自分でも思えなかった。尊大ではなるが、自己認識は意外にもしっかりしていたのだ。マークラも同意見で、社長になるにはまだ少し無作法すぎる、もう少し大人にならなければならないと考えていた。(p.238)

「彼には、自分が若いころのイメージを重ねてみていました。私もせっかちで、頑固で、傲慢で、性急でした。アイデアが次から次へとわいてきて、ほかのことをみんな押し流してしまったのです。期待に応えてくれない人には、私も容赦しませんでした。」と、スカリー。(p.245)

ビル・ゲイツは、コンピュータープログラムを習得しており、考え方は現実的で規則を重んじる。分析能力も高い。ジョブズよりも整然としている。きっちりとスケジュールが組まれた会議で製品レビューを行い、緻密なスキルで問題の核心に斬り込む。
ジョブズは、ゲイツよりも直感的で夢見がちだが、技術を使えるようにする、デザインを魅力的にする、インターフェースを使いやすくするなどの面にするどい勘が働く。完璧を強く求める情熱があり、そのせいで他人に対しても厳しく、カリスマ性と広範囲、無差別な激しさで人を動かす。
両者とも不作法な態度を取る事がある。(p.271)

ジョブズは、完璧主義者ですべてをコントロールしたいと強く望み、アーティストのように一徹な気性で突き進んだ。その結果、ジョブズとアップルは、ハードウェアとソフトウェアとコンテンツを、シームレスなパッケージにしっかりと統合するタイプのデジタル戦略を代表する存在となった。
ゲイツは、頭がよくて計算高く、ビジネスと技術について現実的な分析を行う。だから、さまざまなメーカーに対して、マイクロソフトのオペレーティングシステムやソフトウェアのライセンスを供与する。(p.272)

「アーティストとして、創造的な人生を送りたいと思うなら、あまり過去を振り返るのはよくありません。自分がしてきたこと、自分という人間をそのまま受け入れ、それを捨て去らなければならないのです」。と、ジョブズ。(p.300)

ジョブズは他人の操縦がうまいと有名で、実際、そうしようと思えばあらゆる方法でたくみにおだてて取り込んでしまう。だが意外なことに、策謀や計算は不得手だし、他人のご機嫌をとる忍耐力もなければ、そういうことができる正確でもない。(p.315)

先日行われた組織再編の結果、僕は仕事もなく、定例の経営報告さえも読めなくなりました。(p.338)

アタリ創業者のノーランは、タイム誌の取材に、ジョブズがいなくなったのは大きな損失だと答えている。「今後、アップルはどこからインスピレーションを得るのでしょうか。ペプシの新ブランドという飾りでもつけるのでしょうか?」(p.339) ※ユーモアあり、皮肉たっぷりの言葉!

ジョブズはアップルの株式11%を保有していたが、退職直後から売り始め、5ヶ月で1株を残してすべてを売ってしまう。1株を残したのは、株式総会に出たいと思ったときに出られるようにするためだ。(p.340) ※この行動からも、白か黒かがしっかりしている。大胆に1株のこして売らなくても、、、

ジョブズは「僕が得意なのは、才能のある人材を集め、なにかを作ることだ」と打ち明ける。(p.340)

ネクストで最初に追求したのは、デザインに対する情熱だ。(p.342)

ランド(企業ロゴのベテラン)は、エレガントで生き生きとしたブックレットをジョブズに手渡す。そこには、彼がなにをどう考えたのかが記されていた。最後のページあるのが最終的に選んだロゴだ。(p.343) ※プレゼンの仕方が佐藤可士和と一緒

「人は創造的な動物で、発明した人間が想像もしなかった使い方を見つけてくれる。僕はそう考えている。マックのときもそうだったし、ピクサーのコンピューターでも同じおうになるはうだと思ったんだ」。と、ジョブズ。(p.374)

ピクサーのマーケティング部法は言う、「スティーブは大衆市場向けのものに強い意欲を持っています」(p.375)


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