2012/02/29

成功は一日で捨て去れ


title:成功は一日で捨て去れ
author:柳井正
publish:新潮社

会長から社長に復帰
なぜその決断をしたんだろう
安定志向から成長志向へ
もともとが現場主義の商売人だからこそ時代とともに変化をすることが当たり前
その価値観、方向性が一致してなかったのかもしれない

従弟関係ということだろうな
親分のやることを見て自分もやってみる
職人の世界だけでなく
創業者から会社を受け継いだ後継者にも必要なのだ

報道や他人の考えが本当に当てにならないと自伝を読むと感じる
事件や事柄に対して
報道や他人は批判的な目で見たり自分の価値観で判断したりしがち

なぜその行動を起こしたのかということは本人にしかわからない
報道は塀の外から背伸びして中を見ているようなもの
ガードマンや従業員からやっと話を聞けても結局は他人
自伝も何か省略している部分もあったりして全て正しいともいえない

事実はひとつだけと言うけれど
なぜその事実が発生したのかというところが一番知りたい
その発生原因をしってこそ、次に活かせるから




「増収減益」というパターンは、売上が伸びるが利益があがらないどころかダウンしてしまうという、あらゆる面の効率が悪くなっているから起こるのだ。社員全員、売上が回復基調となって気が緩んでいるのだろう。(p.17)

ぼくは創業者なので、会社はそう簡単にはつぶれないと思っていて、一種の賭けのような意思決定もするが、経営を委任された玉塚君にしてみれば、「会社を危険にさらしたくない」と考え、賭けを避けたとしても仕方がなかったかもしれない。彼は彼なりに非常によくやってくれたと思うが、基本的なスタンスの違いは大きい。(p.18)

業界内の一般的な考え方によれば、洋服に敵対する商品は洋服しか思い浮かばない。それでは同じ狭い市場の中の同じ財布の奪い合いになっつぃまう。ぼくはそんなことではなくて、例えば携帯電話を敵と捉えれば、それよりももっと魅力があって買いたくなるような洋服とはどんな商品なのかを考える。市場をもっと幅広く見ているので、そこのところの違いだと思う。(p.21)
自分自身のカテゴライズで視野を狭めていない

自分の会社や事業として、単純に「こんなことをしたい」のではなく、常に「どうあるべきか」を考えて決断しなくてはならない。(p.30)

危機(リスク)は、裏返すとプロフィット(利益)に通じる。会社経営では、危機は利益と同義語なのだ。リスクを正面から自分で100%取って、人より少しでもうまく経営する。そうすることよって、よりよく儲かるということだ。(p.35)

海外に店舗展開するとき、成長には3段階ある。
1、 個店ベースでの黒字化
2、 店舗のノウハウに基づいて、自力で序所に店舗数を増やしていく
3、 こうやったら大量に出店できるというブレークスルーのノウハウをつかんで一気に資金を投入して広げていく
(p.40)

若い人たちを位置から育成するのは相当難しい。ある一定レベルまではいくのだが、なかなか経営者として自立できないし、客観的な目を通しての正しい判断や、会社の将来像としての大きな具体的な絵が描けない。経営幹部としてある程度の祝意を与えられると、変えることよりも安定化を望んでしまうことがあるのだ。(p.66)

子どもを大人のように扱う。これはまったく誤っている。もともと、モラルや社会のルールを何も知らない子どもは、やはり子どもなのだ。当然だけれど、社会のルールや礼儀作法であるしつけ、あるいは生活をしていくための知識など、知っておくべきことは最低限知っておかないと大人にはなり得ない。それらをすべて飛ばして、最初から子どもを大人のように扱ってしまっている。いわゆるゆとり教育の弊害なのかもしれない。そうして育ってきた人たちは、「甘え」に慣れ親しみ、自分を律する事、我慢する事になれていない。(p.70)

前職での成功体験は、新しい職場では何の役にも立たない。その成功体験を引きずったまま、そのスタイルでしか仕事をしない。成功の復習をしても、環境が絶えず変化をしていく中では同じような方法では成功しないのだ。(p.76)

経営の実務は、経営者も担当者も一緒になって仕事をしていくもので、自分も主体者なのだ。傍観者では経営などできない。仕事というものは、自分の専門分野のことだけ考えればいいのではなく、部門を超えてどんな影響を与え合うか考え調整しながらやるべきものである。(p.77)

生産量のアップダウンが激しかったり、突然キャンセルしたりすると工場はただちに死活問題となる。そこを我が社は真剣に考えず、自分たちの都合を押し付けたらどうなるだろう。あまりにも無責任であり、信頼関係を失うのは当たり前だ。大企業病の症状である。(p.82)

生産部の改革を通して、パートナー工場の信頼を回復する。ちゃんと事前に計画して、お互いにそれを了承の上、しかも3年計画でこんな風に増産していくという前提のもと、キャパシティのどの程度を我が社で契約してくかを決めておく。そんな当たり前の状態になったと言えよう。我が社が成長すると一緒に工場も成長する、という図式がいい。これならお互い納得ずくで、切磋琢磨しながら、ますます良い商品を送り出せる。(p.82)
ひとつの会社、発注側が偉いわけではない。たとえお金をもらっているかもしれないが、その仕事がないと、発注側も困る。

SPAでは、圧倒的な「売れ筋商品」を発見するまで何度でもそのサイクルを自社で回せる。つまり実験=試行錯誤ができることこそが、SPAの本当の強みであろう。(p.85)

洋服はファッションの側面だけで評価されるものではないと思う。例えば、我々が重視しているように、洋服には機能性の側面がある。機能以外にも、着心地とか風合い、肌触りなど、いろいろな売れる要素がある。ただし、そうした売れる要素は情報としてお客様に伝わらない限り、お客様にも認識ができない。我々はそれをお客様のニーズとしてとらえ、商品開発をするとともに売れる理由、買う理由を伝え売り込んでいく。(p.123)
売れる要素=付加価値

思い起こしてみると、洋服以外の商品や製品では、機能や特徴、不可価値などの特有な情報を普通のように消費者に伝えている。洋服の場合はそうではなく、最近の流行などのファッションについてしか情報発信していない。それはおかしいとぼくは思う。そもそもトータルな洋服(コーディネートしたり、こんな服が欲しい!って思ったりする洋服のことかな?)は、お客様が時と場所と機会に会わせてご自分の趣味と気分で選択するものだ。我々が提供できるのは、そのトータルな洋服のなかの部品として完成した洋服である。(p.124)

成功方程式は、一種、徒弟制度のようなものかもしれません。(p.128)

現場主義を徹底的に磨き込むという地道な作業で、社員一人ひとりがもっと深く考えて、すぐに実行してくという経験値の積み重ねのようなものが現状のブレークスルーにつながっていく。よく、机上の空論でいろいろなことを分析したり論理的に考えたりするけれど、それが上滑りすると、結局ブレークスルーしない。(p.128)

お客様の反応、売り場の社員や店長の意見、雑誌の編集者の口コミなどちょっとしたことがきっかけでヒット商品が生まれ、その商品が翌年改良され販売され、そのまた翌年にもっと改良されて販売されてヒットにつながっている。現在の多くの小売業は自分で商品を作っていないので、そういうことよりも自分たちのアイデアを押しつけ、「こんな風な商品を作ってきて!」とメーカーさんに指示をするだけなので、長続きしないし、自分たちにノウハウは貯まらない。それでは成功は継続しない。(p.128)

都心部は、一種の衝動買いできるようにしないといけない。これまでのような目的買いのお客様を想定した、商品ごとにただ積んであるような商品集積スタイルだけではだめなのだ。(p.134)

今後はマネキンに着せて商品ごとの組み合わせを見せる、つまりコーディネートで売る工夫とか、商品の機能的な特徴などすぐれた面の情報表示や発信をして、売り場でお客様を説得すべきである。(p.134)

チラシというのは、具体的な商品を売るための「号外」だと思う。「お客様へのラブレター」と考えればわかりやすい。チラシを見て足を運んでみようと思わせるような、ワクワクするようなチラシにしないとお客様は絶対にやってきてくれない。ただ、チラシは本質的には号外なので、商品や店舗のイメージを上げようとか、チラシで何か特別なことをしてやろうと思ってもうまくいかない。(p.136)

一方、新聞広告やテレビコマーシャルは、たった一つの商品のアピールとか企業イメージのアピール、またはその共存だ。(p.137)

大型店と郊外、都市型店舗との違いは、商品点数がどんどん増えていった代わりに、販売効率が落ちていくのが目に見えてわかったことだ。売り場面積を広げた分、賃料などの経費は余分にかかるが、一方で肝心の売上高が比例して植えるわけではない。大型点に適合した最適な展示すべき品番数はどの程度か、ということを常に考えなければいけない。(p.141)

大型店になると、人員の効率も著しく落ちる。店舗がスリーフロアであれば、3つの階層に分かれてはいるものの、それをワンフロアだと思って管理監督すればいいだけだ。管理職である店長は、よほどの大型店でない限り1人でよい。(p.142)

なんでもそうだが、常識的な考え方は疑ってかかり、それが本当に正しいかどうか、合理的かどうか自分自身の頭で考えてみる事が大切だ。(p.142)

大事なのは、事業の効率性や収益性です。経営とは、人間の創意工夫で矛盾の解決をすることです。いかに少ない費用と時間で、いかにその効果を最大にするのか、それが経営です。(p.147)

膨張は破綻の原因になります。(p.148)
人員キャパシティ越えも、売上が急に上がって(膨張して)いるためで、身の丈にあっていないということ。きちんと計画に沿って、売上や配置などが上昇するのならいいけど、予想外の売上向上はただの膨張だ。おもしろい考え!

アメリカに進出する前に考えていたのは、アメリカ人にはアメリカ人のニーズがあって、サイズや色の好み、ファッションの好みも違う。だからそれに会わせて商品を企画しなくてはならない。ということだった。結果は売れずに失敗だった。先入観がジャマをして、本質が見えなくなってしまった例だ。(p.156)

日本でもアメリカでも共通してユニクロが買っている点を徹底的にアピールして、それが評価されることで商品を買ってもらえる店にする。いま現在の結論としては、そのほうが商売がうまくいくと感じている。(p.156)
外資系の難しいところ。どこまで進出先の文化にあわせるか。良さを殺してしまう進出方法もあるということだ。

どうしたら売れるようになるのか、商品と売り方について改善・改良の余地はいくらでもあるはずだ。売れるようになるまで試行錯誤を繰りかえすべきなのだ。(p.157)

先行してる商売人が流行を作り出すとか、お客様の心理を作り出すといった類に話があるが、そんなことは実際にはあり得ない。こちらから心理状態を変えるなんて滅相もないことだ。重要なのは、お客様の心理状態に会わせて商品を作り出すことなのだ。具体的には、お客様の気持ちを「想像する」ということ。(p.159)

お客様は驚くだろうということを前提にしないといけない。驚かないとお店に行こうと思わない。別の言い方をすると、お客様の期待を超える、デザインや品質と比べてコストパフォーマンスが別群だと思ってもらう、ということだ。知ってもらって、お店に来てもらわないと話にならない。(p.160)

(バーニーズを買う事ができなかったことは)日本の当時の報道の中には、「このM&Aの失敗で、ファーストリテーリングの海外戦略は大きく見直しを迫られた」と報じたところがあった。そんな大層なことではない。とりあえず興味があったので手を挙げ、自分たちの考えている値段よりも高くなったので手を引っ込めたという単純なことなのだ。(p.167)
他人や報道って、勝手に解釈をして批判をする。実際の真相は本人にしかわからない

フランスではどのような商品が売れるのか実験的に見てみようと期間限定で出店した。(p.170)
※小さな失敗をして、変更を加えていくということを実践している

我々は「売れない」ことを前提にして(原因は、リーマンショックや天候など)、「売れるにはどうしたらいいか」を常に考え、試し、実践し続けてきた。その努力があって、やっと商品の良さが認知され売れるようになったのだと思う。(p.172)

注目されない、話題にもならないような業界ではダメだ。海外からどんどん日本に進出してきてもらい、お互いにどんどん競争して、自分にとってよいほうの服を買ってもらったらお互いのためになると思う。H&Mが進出してきたからといって、ユニクロにとってマイナス材料があったかというと、まったくない。逆に、比較の対象となったことで、ユニクロがグローバルブランドとして認められ始めたと考えれば、非常に良かったといえるだろう。(p.187)

会社というのは、お客様に商品を売り、サービスを提供して、それに対してお客様がおカネを払ってくれる、収益という見返りを得る受益者である。そこにこそ会社の役割と意味があると思う。株主のためでも社員のために存在するものでもない。(p.200)

おそらく人間は、満たされていないことや劣等感を引き金にしてがんばれるし、行動をおこそうと思うのではないだろうか。何もかも満たされていたり、まったく劣等感がなかったとしたら、きっと何も行動は起こさないかもしれない。(p.202)

ドラッカーは経営に関する多くの名言を残したが、なかでも経営の本質をついた言葉だと感じるのはこれだ。「企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である」。この言葉は、企業には、自分たちが何を売りたいかよりも、まずお客様が何を求めているかを考える、お客様にとって付加価値のある商品を提供するべきである、ということを意味している。(p.204)

利益とは、社会の公器である企業が、その役割を果たしてくための必要なコストであり条件である、とドラッカーは述べている。(p.205)

「本当に良い服」とは、一体どんな服なのでしょうか。人々から真に愛される「本当に良い服」は、かつて存在したり現時点で存在する人々の好みや欲求の最大公約数からは生まれてきません。「本当に良い服」とは、従来からの服が持つ価値観から抜け出した「新しい価値を持つ服」でなければならないのです。お客様が抱いておられる服の概念をも超越した、「今までにない新しい価値」の提案をするからこそ、より多くの人々の心をゆさぶることができ、お客様の熱い支持を獲得することができるのではないでしょうか。(p.224)

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